ケーススタディー: ワークマン様

株式会社ワークマン
広報部
伊藤磨耶氏
「怒涛の進撃」続くワークマン、その広報・PRの秘密
相次ぐ新業態が一般客に浸透し客層拡大
情報発信のカギは「アンバサダー」「リリース」

南柏店はオープンして1カ月たっていないのと、ちょうど夏物の商品が売れる時期とも重なって混雑しており、ご不便をおかけしています。
南柏店の周辺には、ご指摘のようにワークマン柏南増尾店もありますし、近くのショッピングセンター(SC)には「WORKMAN Plus テラスモール松戸店」があります。両店ともすでに多くの一般のお客様にもご利用いただいており需要が見込めると同時に、ワークマンの認知度が高い地域です。「#ワークマン女子」の初の路面店は、こういった条件を満たした地域が出店に適していると判断しました。
女性やファミリー層の取り込みを目指しています。「ワークマン」では一般のお客様向けのPB商品を2016年から展開しており、PB商品は「ワークマン」「WORKMAN Plus」「#ワークマン女子」のすべての店舗で取り扱っています。このため、一般のお客様が既存店の「ワークマン」に来店されることが多くなりました。
「ワークマン」はプロ客向けの店舗という位置づけです。当社では、現場で作業をされる方を「プロ」と呼んでいますが、プロのお客様は目的買いの方がほとんどで、店舗の滞在時間は5〜10分ほどで朝の仕事前か、夜の仕事終わりと来店時間も決まっています。「ワークマン」では、こうした事情から駐車場のスペースもそれほど取っておりません。
このところプロのお客様から「ワークマン」で買い物がしにくくなったとのお声をいただくようになりました。プロ向けの商品も伸び続けており、しっかりとその需要に応えていく必要があります。一般のお客様とプロのお客様の棲み分けをしていくためにも「#ワークマン女子」の出店を今後進めていく予定です。

「#ワークマン女子」の店舗を当社ではリアル店舗がSNSとつながるという意味で「Connected Store」と呼んでいますが、お客様がお買い上げいただいた商品や試着品を着て、店舗からSNS発信できるスポットを多数設けています。
試着室には、お子様が遊べる壁掛けパネルがあり、お母様もゆっくり試着ができるような仕掛けを施しました。おかげさまでインスタグラムでの発信も増えています。

『イージス透湿防水防寒スーツ』というPB商品がある日突然、売れるようになりました。この商品は元々、東北地方など雪の多い地域に住むお客様向けに販売していた上下組みの防寒・防水に優れたウエアでした。それが他の地域の、しかもお買い求めいただいた一般のお客様の声が、スーパーバイザーを介して本部に上がってきたのです。
本部で調査してみると、バイクユーザーが防寒着として購入されていることが分かりました。バイカーの方がツイッターやユーチューブに投稿されていて、「ワークマンの『イージス』がいいぞ」と口コミが広がっていました。このことが一般のお客様に当社を知っていただいた一つのきっかけになりました。
また、『綿かぶりヤッケ』は本来、溶接工の方々向けの商品でしたが、当社のアンバサダー❷第1号でキャンパーのサリーさんが、「焚き火の火の粉から守ってくれる」とインスタやブログで発信してくださり、これも一般のお客様に波及していきました。ちなみに『綿かぶりヤッケ』は、サリーさんとの共同開発で『フルジップコットンパーカー』に生まれ変わって大ヒットしました。
これまでワークマンはプロ向けの商品だけを販売していましたが、一般向けの需要があることに当社の土屋が気づき、新業態の「WORKMAN Plus」の実現につながっていきました。それ以後、ワークマンの「怒濤の進撃」が止まりません(笑)。
そうなんです。当社から仕掛けているわけではありません。本当に何がバズるのか分かりません。当社の製品開発の軸は「機能性」と「低価格」です。プロの方が安心して使用していただける商品づくりは今でも全く変わりません。それを一般の方に注目していただきました。
ただ、これまでプロ向けの商品づくりしかしてこなかったので、どうやって一般向けの商品を作っていいのか分かりませんでした。キャンプにはどういった機能をつけたらいいのか、逆にアウトドアに使用する際にはどの機能が省けるのか……と分からないことだらけでした。そこで、一般の方でワークマンの熱烈なファンにアンバサダーになっていただき、二人三脚で商品開発をすることにしたのです。
当社は「声のする方に進化する」というビジョンを掲げており、お客さまの需要がある方に会社が動いていっています。
会社としても広報・PRに力を入れていこうということで、2020年に広報部ができました。現在3人体制で回していますが、もともと営業企画部という、主に店内のPOPやチラシ、年2回のカタログ作成といった社内の媒体をつくる部署が空いた時間で社外広報をしていたのです(笑)。
今は営業企画部が社内で使う販促物やチラシ制作を行い、広報部が社外向けのPRを受け持っています。ワークマンの認知を増やし、最終的には商品の購買につながるような広報・PRを心掛けています。
恐縮です。両番組とも広報としては目指したい番組になりますよね。2020年5月に放送された「ガイアの夜明け」と同じスタッフさんからお声掛けいただき実現しました。今回は1カ月ほどの密着取材でしたが、伝えたいことが全部伝えられたかというと必ずしもそうではありませんでした。広報として、あらためてメディア露出の難しさを感じた取材で、とても勉強になりました。
当社は新商品を出すタイミングで仕掛けをする場合が多いですね。東京ガールズコレクション(TGC)への参加❹もそうでしたが、TGCの後に、「#ワークマン女子」東京ソラマチ店の内覧会を開催しました。同店の内覧会は21年の新製品発表会も兼ねて行いました。
新製品発表会❺は春・秋の年2回あります。当社では発表会や内覧会に一般のお客様をお呼びするケースはほとんどありませんが、アンバサダーさんにお越しいただき、アンバサダーさんの媒体で発信していただくという点が他社さんと大きく違うところだと思います。
「アンバサダーマケーティング」は2019年に本格的に始動しました。アンバサダーさんは現在30人以上おり、今後50人ほどまで増やしていく予定です。
❺2019年9月に初めて開催した「過酷ファッションショー」が好評を博した。2020年10月には、暴風・暴雨・暴雪が吹き荒れる「荒天時の過酷さ」を再現したファッションショーのほか、アンバサダーが開発に協力した製品を自ら紹介する場面もあった。
アンバサダーさんには無償でお願いしています。忌憚ないご意見をいただき、商品開発に役立てています。実際に商品を使ってみて「もう少しここがこうなったらいいのに」ということを企業に伝えることができ、かつその声が商品に反映され販売されています。
アンバサダーさんとお話しする機会がありますがこのことが一番うれしいし、モチベーションになっているとお聞きします。一般のお客様、ファンの代表であるアンバサダーさんと一緒になって、よりよい商品をつくっていくという「いい流れ」ができています。私たちも商品ができたら真っ先にアンバサダーさんが発信できるよう優先的に情報提供しています。
メディアから直接アンバサダーさんに出演のオファーがあることも多いですね。アンバサダーさんにとっても露出が増えフォロワー数の増加につながるようなWin-Winの関係を築いています。
ありがとうございます。実は、当社のリリースなんですが……土屋が作っていまして、それを広報部が一部手を入れて発信しています。

これは、林(知幸・広報部部長)が仕掛けたものです。女性が来やすい店舗にしようと当初は男性メンバーのみでフォトスポットを作る企画を進めていました。その案を相談という形で女性社員数人が見せてもらいました。
感想としてはリリースにある通りで「このデザインはないんじゃない」ということで「それなら女性メンバーがやった方がいい」と総入れ替えになりました。普段は商品についてのPRが多いのですが、このリリースをきっかけに、テレビの情報番組で店舗オープンに向けて準備を進める女性社員というテーマで密着取材をしていただきました。
「WORKMAN Plus」にいらっしゃるお客様はコスパ重視の30〜40代の女性が多く、10〜20代といった若い世代にも認知を広げていきたいと考え「#ワークマン女子」を出店しましたが、「ワークマンてお父さんが買うものだよね、私関係ないし……」みたいな声も根強くて(笑)。
全身ワークマンで揃えてほしいかというとそうではなくて、何か一部取り入れてご自分の服と組み合わせを楽しんでいただければというコーディネートの提案をしながら、3月19日の「#ワークマン女子」東京ソラマチ店、4月2日の同なんばCITY店と、それぞれのオープン前のPRも盛り込みました。
原点に返り、明確に棲み分けをしていこうということで、プロ向けの店舗も今後つくっていこうと動いています。プロ客のお声はしっかりと受け止めています。
一般のお客様も日常使いで着てもらえるような商品づくりに変わってきました。アンバサダーさんのご協力もあってデザイン性も高くなったと思います。最近では朝の通勤で当社の商品を着てくださっている方を2、3人お見かけすることも珍しくありません。これまでは現場で働いている方が多く、なかなか街中で当社の商品をお見かけすることがありませんでした。こうした変化が一番うれしいですね。
「#ワークマン女子」は今後、SC店・路面店ともに皆様のより身近な場所に出店を増やしていく予定です。10年の間に400店舗、20年間で900店舗を目指す計画です。若い方もぜひお父様、お母様とご一緒にお近くの店舗にお越しいただければと思います。
入社後、2年間直営店の店長を経験した後、新店の立ち上げやスーパーバイザー、品質管理部を経て営業企画部に配属された伊藤さん。19年から営業企画部兼務で広報を担当している。「会社全体が現場主義で動いています。店舗の9割がFC店ですので、加盟店様のためにどうしたらいいのかという視点が欠かせません」と話す。
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