ケーススタディー: タカラトミー様

事業統括本部 ブランドビジネス本部
ブランドビジネス事業室
プラレールマーケティング部
プラレールマーケティング課
課長補佐 奥田さつき氏

タカラトミーの鉄道玩具『プラレール』、リアルとオンラインで魅力発信
4歳児の影絵動画に担当者がコメントし話題
「プラレール鉄道」本格始動、関連商品も好調
当社には知名度が高く、しっかりと確立されているブランドが多く、『トミカ』『プラレール』はその代表格です。2010年4月に『プラレール』の部署に配属され、以後10年の付き合いですが、まだまだ勉強中という感じです。『プラレール』には「大事なところを守りながら新しいものを入れていく」という精神が息づいており、挑戦できる土壌があります。
私が所属しているプラレールマーケティング課は、『プラレール』市場をリサーチし、戦略を立て、どんなメッセージを伝えていくべきか、どんな商品があるべきかを検討しています。見ているのは今ではなくもっと先の未来です。未来への芽を見つけ、開発と一緒になって商品を作り、そしてプロモーションなどでお客様に届けていくところまで一貫して商品に関わる仕事なので毎日が楽しいです。

普段から『プラレール』がどのように遊ばれているのかなど検索していますが、そこで偶然に見つけたんです。とても芸術的だったので大人の方だろうと思って、よく調べてみると、お子さんだったということで驚きました。『プラレール』のチーム内でも「見た」「見た」と開発もマーケティングもみんなが話題にしていましたね。すぐに鉄道会社さんからも問い合わせもありました。私たちの界隈では「すごいぞ」という話で持ち切りでした。
そんな時に、ちょうど「まいどなニュース」さんから取材のお話をいただきました。昨今の情勢で「プラレール博」やイベントが中止になり、お子さんとの交流の場がないままの1年でした。私はイベントからこれまで刺激をもらっていましたし、何よりも楽しみにしていたんです。それがなくなってしまって、ぽっかり穴が開いていたところにタイミングよく「まいどなニュース」さんが連絡をくださり、「これはお返事しなきゃ」とメッセージをお戻しました。

特にコロナ禍でおうち時間が長くなり、遊び方にも変化が出てきたように思います。在宅勤務の影響で家族みんなで遊べるようになり、難易度の高いレイアウトに挑戦されているご家庭が多いようですね。『プラレール』の公式ホームページでもレールの基本的なつなぎ方から複雑なレイアウトのお手本までを紹介する「プラレールコンシェルジュ」というページがあり、アクセスが増加傾向です。
弊社直営のECサイト「タカラトミーモール」では、今年度の『プラレール』の部品販売が前年度比124%と好調です。また、最近の動向ではライトな方も『プラレール』遊びを一段と楽しまれているという印象があります。多くの方が『プラレール』のレイアウトの面白さに気づいてくれたのではないかと思っています。
大仏の情景パーツが入ったユニークなシリーズで人気がありました。お子さんが自分の頭で描いた世界を再現して、何度も作っては壊しを繰り返し作り上げていく姿を見ていると、『プラレール』は本当に楽しい遊びなんだろうなと思います。
Nunoさんへのメッセージにも書いたのですが、影絵動画を見ると、影を使うことでご両親と手をつないで夕焼けの中で電車の影を見た世界を再現したのだろうかと、そんな想像をかき立てられました。お子さんが見ている電車の景色というのは色々あって、再現したいものがもっとたくさんあるんだろうと思いました。『プラレール』でそんなお子さんの世界や思いを引き出していければいいなと思います。

コロナ禍でファンの方から「電車を見に行けず、寂しい」という声が寄せられました。鉄道会社さんも「新しい電車を走らせても魅力を伝えられない」と、この状況をもどかしく感じていらっしゃいました。私たちは『プラレール』で「ファンと鉄道会社さんの両者をつなぐことはできないか」と考えました。
特にお子さんは、自分のかっこいいと思う列車を鉄道会社さんの垣根なく、並べたり走行させたりすることが大好きなのです。『プラレール』でオリジナルの車両があれば、どの鉄道会社さんともコラボできるのではないかと思いました。
その車両が「スピードジェット」です。昨今の情勢で会いに行くことが難しい実車と「スピードジェット」が一緒に走行する映像を通して、新しい鉄道との出会いをつくっていけたらと、本格始動させました。
反響はとてもよくて、「スピードジェット」を本物の車両と思ってくださる方も多いと聞きます。それくらいリアルなんです。実際に本物の車両を見に行ける日が早く来ることを願っています。

本来なら春休み期間でもあるので、スタンプラリーをしたかったのですが、緊急事態宣言が発令され、それも難しくなりました。オンラインで鉄道に会いにきてくれる方法はないかと考え、「プラレール鉄道×西武鉄道でいく こどもたび」というコンセプトを西武鉄道さんに提案しました。駅係員さんのお出迎えのシーンは西武鉄道さん自ら撮影してくださったものでした。
ボーカルの岸田(繁)さんは鉄道ファンとして知られていますが、「プラレール鉄道」のテーマに強く共感していただき、長く親しまれるような歌になるように――と「プラプラプラレール」というテーマソングを書き下ろしてくださいました。「プラレール鉄道」は、皆さんの熱い想いで成り立っている「鉄道会社」なんです。みんなでつくっていくコミュニティにしたいと思っています。
本来の開催期間は5月11日まででしたが、京都府に緊急事態宣言が出され、期間が短くなったとはいえ本当に奇跡的な開催でした。京都鉄道博物館さんとは、2019年の『プラレール』60周年で「シロクニ」の愛称で知られるSLが青い線路を走行する企画などで大変お世話になりました。そのご縁もあり今回、「プラレール鉄道」の本格始動に合わせてイベントを行いました。
『プラレール』でできた大きなトンネルやジオラマ、「スピードジェット」のバルーンも展示しました。SNSでも皆さんに喜んでもらえた様子がアップされていました。私たちもうれしかったですね。
「プラレール博」は年間約35万人の方が来場される一大イベントでした。お子さんたちにはイチ押しの新商品を実際に遊んでもらって、「この車両はどう、どこが好き」と、その感想を直接お聞きできる貴重な機会でした。ニコニコの笑顔が私たちのやる気にもつながっていたので、それがなくなって私たちもとても寂しい思いをしていました。
その代わりにSNSをこまめにチェックするようにして、ファンの方の反応やどんな遊び方をしているのかを拾うようにしていました。そんな中、影絵や家族でおすし遊びを楽しんでいるのを見ました。今こんな遊び方が楽しいのかということをSNSを通して知ることができファンの方との新しいコミュニケーション、新しい出会い方につなげることができました。
ファンとは何か――。なかなか言葉にすることが難しいのですが、ファンの存在は、私の中では刺激をくれる「仲間」という言葉が一番しっくりくる気がしています。
もっとファンの方の声を反映できる方法はないか、今後も探っていく必要があると思っています。実は私、「プラレール鉄道」のブラマネ(ブランドマネージャー)に就任してしまいました(笑)。そして、この春から新しい試みをスタートさせました。『プラレール』ファンでレイアウトをずっと研究されている方を「レール博士」としてお招きしました。その方に「プラレール鉄道」の特設ページでも東京駅などを再現してもらい、作り方のポイントなどを紹介してもらっています。
5月27日に『極み!おとどけ!スシロー×プラレール』のプレスリリースを出しました。回転すしの「スシロー」さんとのコラボで、『プラレール』のレール上を、板前さんとお客さんでおすしをお届けする遊びを楽しめるセットを7月17日に発売しました。
また、『プラレール』ではこのほど「キッズ未来部」を立ち上げました。『プラレール』のもっと楽しい遊び方や、実在する車両でなくても、こんな車両があったらいいなというのをお子さんたちとみんなで考えていきたいと思っています。「プラレール鉄道」ではこれからもいろんな方や企業に「仲間」として入ってもらい一緒になって「鉄道会社」として育てていきたいですね。コロナ下でファンとの新しい交流が生まれつつあると感じています。
「『プラレール』で遊んだこともなければ鉄道好きでもありませんでした」と奥田さん。『プラレール』事業の部署への配属当初は「不安もありました」と振り返る。「ダメ出しはもちろん、いい時はしっかりほめてくれます。私たちが思っていることとは違う遊び方も教えてくれる。そんなファンの方々に支えられています」と話す。
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