ケーススタディー: ダイキン工業様

ダイキン工業
コーポレートコミュニケーション室
広報グループ 重政
ダイキン工業のコロナ禍における情報発信、PRアワードグランプリを受賞
「換気の広報」、役立つ生活情報を提供
HPでコンテンツ公開やWEBセミナー開催
ニュースリリースを作るために、一般の方へのアンケート調査を行っていますが、当社が行った調査で「コロナ禍で換気への関心が高くなった」と回答した人が79.2%に上りました。また、「緊急事態宣言の解除後も家で換気をしている」方が88%いらっしゃるなど、データからも「換気」への関心は高まっていると言えます。
コロナ禍での情報発信では、新聞に加えテレビやウェブメディアにも力を入れています。今年11月末まででみると、「換気」に関する当社の露出は転載記事を含めると、ウェブ媒体だけで約1300件に上りました。新聞・テレビを入れると1400件以上にもなります。

「換気」に関する情報発信は、4月10日に公開したWEBコンテンツ「上手な換気の方法」が最初で、半年で50万PVを超えました。
このWEBコンテンツは、弊社のお客様相談窓口であるコンタクトセンターに「換気をどうしたらいいのか」「エアコンをつければ換気ができるのか」といった疑問が多く寄せられたことから作成しました。
ちなみに、ほとんどのエアコンでは換気ができません。弊社としては、そういった誤解も含めて、もっとこちらから広く「換気の広報」をしていこうと、WEBコンテンツを立ち上げました。
「技術部門」や「営業部門」の知見を「広報部門」の視点でまとめ、専門的ですが分かりやすく、をテーマに三位一体で取り組んでいます。

コロナ禍の夏を迎えるに当たり、どう対応したらいいのか、熱中症に対しても空調メーカーとして答えを出していかなければいけないと思いました。
熱中症の専門家である帝京大学医学部附属病院高度救命救急センター長の三宅康史先生をゲストに迎え、「コロナ禍における熱中症対策」について解説してもらいました。当社からも「上手な換気」と「電気代を抑えるエアコンの冷房運転」のポイントについて、実演映像を用いて紹介しました。
コロナ禍で大人数のイベントが開催できないなか、より多くの方に、双方向で情報をお伝えする機会を設けたいとの思いで初めて企画しました。東京支社にある会議室に長机を並べて行い、参加者は、会員サイト「CLUB DAIKIN」のお客様とメディアの皆さんの計189名で、メディアの方はそのうち35名でした。
セミナーの目的は、有識者の先生や当社の広報が自身の言葉で説明する姿をメディアで取りあげていただくことで、一般生活者の皆様により分かりやすく、また安心感を添えてお伝えすることにありました。セミナーの中での私の役割は、エアコンメーカーならではの視点で、上手な換気の方法をできるだけ分かりやすい言葉とイラストで説明することでした。
淡々と資料を説明するのではなく、見ている人に飽きさせないプレゼン資料を準備しました。文字数を減らし、イラストを増やし、文字が少ない分は、説明の中で自分の言葉で補うようにしました。視聴者は、イラストと耳から入ってくる言葉をリンクさせることにより、理解が深まっていくのではないかと思います。
手元に原稿を置いていましたが、見る余裕はありませんでした。机上の資料が映り込まないようにするなど「見せ方」も事前に確認しました。
セミナー終了後、YouTubeにすぐに動画をアップしたのは、セミナー当日以降もご覧いただけるというだけでなく、メディアにとっても記事を書く際、使い勝手がいいのではと考えたからです。動画は記事のリンクとして使っていただいてもいいですし、実際、セミナーで使った説明イラストをキャプチャしてそのまま記事に活用していただくケースも多く見られました。ラジオでは、動画の音声で必要なところを一部切り取って、コメントのように使ってもらえました。
セミナーにご参加いただいた方にアンケートを取ったところ、76.6%の方にご満足いただけたという結果が出ました。ウェブメディアで取りあげていただくことが多く、ウェブとの相性がよい施策だったと感じました。
参加者の感想の中で「ダイキン社員から直接ノウハウを聞けてよかった」というものがあり、今回のようなオウンドメディア的な活用に可能性を感じました。例えば、ダイキンのエアコンはどんな仕組みなのか、実際に、設計した技術者はどんな考えでこれをつくったのかといったことをYouTubeでお客様に向けて直接語ったらどうだろう、そんな試みも面白いと思います。
これは広報としては難しい問題です。客観性のあるメディアを介した発信は、広く多くの方にリーチでき、これまで以上に大事にしていかなくてはいけない部分です。今回のWEBセミナーのようなオウンドメディア的な発信は、あくまでもプラスアルファの位置づけだと考えています。
とはいえ、直接お客様に向けて発信することで、より多くの情報が伝えられ、受け取る側に安心感を持ってもらえるということを今回実感できたことは大きな収穫でした。
生活者にとって有益な情報であることが大前提です。当社が言いたいことを一方的に発信するのでなく、生活の質が向上するような啓発や、普段から疑問に思っていることの解消、生活者に新たな気づきを促せるような内容を心掛けています。
当社は「換気のできるルームエアコン」を展開していますが、これは当社の独自商品です。この商品を使っていただいていることを前提とした情報発信では、限られた人にしか役に立たない情報になってしまいます。できるだけ多くの人に役立つ情報を発信していきたいと思っています。
生活に関する情報発信には大きく2つあると考えています。1つは商品そのものを直接的にPRする取り組みです。私も営業畑の出身ですので、よく理解できるのですが、「この商品の良さを知ってください」という販売目的であることが分かりやすいメッセージにならざるを得ないところがあります。こうした販促活動は「北風と太陽」でいえば、「北風」のイメージです。
もう一方の情報発信は、自社の事業に関わる情報ではあるものの、商品そのものではなく、生活者への啓発や暮らしに役立つ情報を発信する広報的な活動で、こちらは「太陽」の役割ですね。結果的に納得感をもって当社の商品やサービスを選んでいただくために、自社に対する良好なイメージを醸成し、社会に受け入れてもらえるような発信の仕方になります。企業の情報発信としては、「北風」と「太陽」のどちらにも偏ることなく、両方が大切だと私は考えています。

そうですね。私はブランドとはイメージだと考えています。ダイキンと聞いて、どんな感情を持ってもらえるのか。私は企業名や商品名といった認知度に加えて大切なのがこのイメージだと思っています。
一連の情報発信で「ダイキン=換気」と思っていただき、それがポジティブなイメージであるならば、とてもうれしいですね。ダイキンが世の中に貢献する取り組みの一環として「換気」の事業にも注力していると受け止めていただけたらと思っています。
できるだけ専門用語を使わず、複雑なことも極力簡潔にお答えすることを心掛けています。難しい話ばかりでは、メディアの方も扱いづらくなってしまいますし、生活者の理解も進みません。
それと、「優良誤認」など誤解を招くような表現は避けるようにしています。例えば、当社の空気清浄機には「ストリーマ技術」という空気清浄技術が搭載されています。ストリーマとは、放電により有害物質を酸化分解する技術のことですが、このストリーマ技術が、新型コロナウイルスの抑制に効果があるという実験結果が出ています。
ストリーマ技術は、当社の空気清浄機やエアコンの一部に搭載されており、ついつい「当社の空気清浄機はコロナに効きます」と言いたくなります。しかしながら、この実証は、あくまでも一定の試験条件の中で技術そのものを対象にした実験の結果であり、実機及び実機を使用した環境での効果を示すものではありません。広報としては、この点は明確に説明しなければなりません。
取材対応では、文字で報道されるだけでなく、映像や写真を撮影されることもあります。撮影時の表情や声、姿勢などにも気を配っています。それと、広報全体での情報共有も大事です。WEBコンテンツの「上手な換気の方法」を立ち上げた際に、広報部門で、「換気の広報」の骨子をつくりました。これをもとに広報は誰でもコメントできるようになっています。コンテンツで触れていない部分や応用編に関しては、私が担当することが多いですが、取材で話した中身についても、広報で共有するようにしています。

リアルとオンラインを組み合わせて開催しました。当初、オンラインのみで開催しようと考えていましたが、商品を実際にご覧いただきたいということや、登壇した役員の説明をリアルな空間でしっかりと聞いていただき、当社の意気込みを感じてもらいたいという声が、事業部門を中心に強くありました。
商品があってこそのメーカーですから、その思いはよく分かります。広報も「それならば」とオンラインだけでなく、リアルの会場へのメディア誘致も行いました。リアル・オンライン計約80名の方にご参加いただきました。当社としては、これまでで最も多い人数で、「換気」に対するメディアの皆さんの関心の高さをあらためて感じました。
会場での安全面には細心の注意を払いました。囲み取材では取材される人間は演台に立ち、前方を除く周囲をアクリルボードで囲いました。当然メディアの席も十分に間を空けて座っていただきました。

今回の発表では、住宅用の「換気ができるエアコン」の紹介にとどまらず、部屋の空気診断の展開や飲食店などに向けた業務用の換気機の紹介など、「換気」に関連する国内空調事業の新たな取り組みを紹介しました。
結果的に、住宅用から業務用まで幅広い切り口で報道していただき、当社の姿勢を含めて発信することができたという手応えを感じています。
広報は幅広い情報発信を担う部署だと思います。商品に関連することだけでなく、例えば環境貢献の取り組みや研究開発の進捗、決算情報の発信など多岐にわたります。そういった幅広い情報発信を通じて、ダイキンが社会にとって必要な企業であると思ってもらえるように取り組んでいきたいと思っています。
私個人としては、現在のユーザーだけでなく、未来を担う子どもたちに向けた発信も手掛けていきたいと思っています。これからも長く社会に受け入れてもらえる企業であり続けるための情報発信をしていきたいと考えています。
ダイキン工業のWEBコンテンツを起点とした「換気」の情報発信は、日本パブリックリレーションズ協会主催の「PRアワードグランプリ2020」で最高賞のグランプリを受賞した。同社の「換気」の情報発信は、多くの生活者に役立っていることが伺える一方、「コロナ禍でバタつきがちなタイミングに初速鋭くアプローチを重ね、その社会的存在意義を伝えきった好事例」とPR活動としても高く評価された。
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