ケーススタディー: ミートエポック様

熟成肉の仕掛け人、「ガイアの夜明け」「ワールドビジネスサテライト」に登場し話題に
新型コロナで窮地の飲食業を救え
『エイジングシート』にメディアが注目
私が運営する店舗でも銀座にある「旬熟成HAKKO」が最も早く影響を受けました。苦渋の決断でしたが2月に完全撤退しました。その後、他店でも売り上げが下がり、落ち込みようは想像を超えていましたね。
4、5月と本当に厳しい月が続き、6月に入って日常を取り戻しつつありますが、それでもまだまだです。現在は、運営する3店舗の仲間と何とか踏ん張っているといった状況です。
最初は、「食品産業を変える日本の新しい技術」といったテーマで取りあげられる予定でしたが、コロナの影響が放送直前になると一気に加速していき、急遽タイトルも変えて内容もフードロスの問題に寄せていくという方向転換がありました。担当ディレクターの機転の利いた番組づくりがピタッとハマりましたね。
私が社長を務める「ミートエポック」は、食材を包むだけで熟成肉や熟成魚を簡単に作ることができる『エイジングシート』を手掛けています。この『エイジングシート』のもう一つの面にスポットが当たりました。

昨年11月ごろから『エイジングシート』の食品の保存期間をより長くすることができるという点を前面に出した訴求に力を入れています。
そもそも熟成肉は、専用の冷蔵庫で自然に菌を付着させるのが一般的でした。熟成には時間がかかり、品質も不安定で腐ってしまった部分は廃棄されていました。それを熟成させる菌だけを付着させたシートを巻くことで、熟成期間を従来の半分程度に短縮し、捨てる部分も少なくて済むというのが、この『エイジングシート』です。
『エイジングシート』の用途は牛肉や豚肉だけではありません。傷みが早い魚をはじめ、鶏肉、乳製品(ラクレットチーズ)にも活用が広がってきました。特に肉より劣化の早い魚の熟成に成功し、『エイジングシート』の新たな可能性が見えてきました。
私は経験から、「この魚は何日すれば味が変わる」という熟成までの期間が分かります。それはまた、一定期間鮮度の低下が抑えられるということでもあるのです。その不思議さに、ある時ふと気づいたのです。食材の保存期間が長くなればフードロスを防ぐことにもつながっていくのではないかと考えました。
今から8年前に熟成肉専門店「旬熟成」をオープンし、その常連のお客様から明治大学農学部で微生物の研究をされている村上周一郎先生を紹介していただき、「誰でもできる」「簡単に」、そして「安全に」熟成肉を作れることをコンセプトに共同研究を進めてきました。
村上先生には、『エイジングシート』のエビデンスの部分でしっかりと支えていただいています。先生との連携を密にしながら、今、メディアへの発信を強めているところです。
開発発表では記者会見を開催し、明治大学との産学連携事業による日本初の技術として注目されました。技術がどのように活用されるのかという「出口戦略」を示したことで、大学以外にも関係する企業トップが揃った会見となり、各局の取材を受けました。
2回目の『発酵熟成熟鮮魚』は、日本人の魚離れが進み、水産物の取扱いが減っている卸売市場の力になりたいと『エイジングシート』を使ってブランド化した商品で、試食会を兼ねた発表会にしました。この時にはテレビ東京の「ワールドビジネスサテライト」やテレビ朝日の「スーパーJチャンネル」でも数カ月密着していただき、大きく取りあげていただきました。
近年最も取材誘致をかけていたのが「ガイアの夜明け」です。社会的問題を取りあげる番組を考えると「ガイアの夜明け」の影響力は大きく、その都度リリースをお送りしていました。
19年の秋くらいだったでしょうか。西麻布にある私の事務所に「ガイアの夜明け」のプロデューサーの方が1人でお見えになりました。開口一番「どうして、これまでうち(「ガイアの夜明け」)で取りあげていないのですか」とお聞きになるので、こちらが驚きました。「もったいない、ぜひ取材させてください」とおっしゃって、すぐディレクターの方が2人お見えになりました。
その後、ディレクターが1人私に密着され、3カ月に及ぶ取材に入りました。テレビでは多くの情報番組でご紹介していただきましたが、取りあげていただいた時間が長く、『エイジングシート』の効果をより一層お伝えできたのが「ガイアの夜明け」でした。
「ガイアの夜明け」ではディレクターの方との相性がよく取材後の編集でも「コメントや画(え)などそのまま使えて楽でした」とおっしゃっていました。メディア慣れしていることもあるのかもしれません。「この場面で欲しい言葉は何だろう」「この画はメディアが求めるものか」と考えてしまうのです。
起業してから10年が経ちましたが、当初からメディア戦略を意識してきました。一言でいえば、キーワードによる訴求、そして大切にしているのが理由づけです。
私が運営する熟成肉専門店の名前には「旬熟成」という言葉が入っています。熟成に関する私の考えが凝縮された造語で、メディアを通じて広がっていきました。
次に理由づけです。運営している餃子専門店の餃子を大振りにしたのは理由があります。私が寿司職人時代に学んだことですが、鉄火巻きは6つに、かんぴょう巻きは4つに切ると教わりました。かんぴょう巻きはどうして4つに切るのかというと、板前が自分の“仕事”を見てもらうためにそうしているのです。4つに切ることで一口で食べることができず、一度かみ切ることになり、その時かんぴょうが抜けてしまうのは下手な職人です。かんぴょうの煮方が上手ければ、最後までかんぴょうが残ります。餃子は肉汁がたっぷり口の中に残るような大きさが一番おいしく感じてもらえます。このように一品一品に作り手の思いが込められています。
お客様に語れるようなストーリーがあれば、他店にはない取っ掛かりとなり、メディアにも取りあげられやすくなるのではないでしょうか。

これまでは、お取引を希望されるお客様と直接お会いし商品説明と試食会を行っていましたが、「ガイアの夜明け」で一気に認知度も上がり、『エイジングシート』をさらに多く方に使ってもらえるように、マニュアルを作りました。『エイジングシート』と、そのマニュアル、シートで作った肉(または魚)をセットにしたキットを販売しました。大変好評で、キットを通じて契約に至ったケースがこの1、2カ月で20件近くに上りました。中には、ビブグルマンに選定されるような有名店もあり、そうした一流料理人によってどんな味が生まれるのか私もワクワクしています。
コロナで一番感じたことは、資本主義が最高点に達した社会のあり方が問われているということです。飲食業は店舗数と売り上げを拡大していきましたが、コロナ禍でその拡大路線も崩れ去ってしまいました。モノには限りがあります。どんどん新しいものを作り出すというよりは、今あるモノの寿命を延命させることが求められていることだと思うのです。そこに『エイジングシート』の価値を見出したいのです。
そして、味噌や麹と同じように「発酵」というキーワードで世界に発信していきたいと考えています。『エイジングシート』の未来は「発酵力(はっこうりき)シート」であり、フードロスを防ぐためのものだと言ってもいいと思うのです。さらに「フードロスを防ぐ」という言葉も私は「キープフード」と前向きに言い換えたいですね。
賞味期限が5日の食品があったとします。生産・加工から流通・販売まで長くて3日かかってしまうと、販売までには2日しか残されていません。その2日を『エイジングシート』で10日に伸ばすことができたなら、どれだけ多くの人が助かるのでしょうか。日本だけでなく、海外に商品を届けることができるようになります。物流にも革命が起こるかもしれません。近い将来、食品用のラップフィルムのように使われるようになれば、食品のこれまでの「常識」は大きく変わることになると思っています。
跡部さんは、熟成肉の仕掛け人としてメディアに登場。17年に、目隠ししヘッドホンをしながら熟成肉を味わう「リスニング・イーツ」が話題を集めた。ヘッドホンからは肉の焼ける音が聞こえ、数口を目隠ししヘッドホンをして味わった後は、すべて外して食べるというユニークな趣向が好評。「バラエティー番組がよく取りあげてくれました」と跡部さん。また、枝肉をつるし、店の外から熟成庫が見えるようにする店頭ディスプレイも跡部さんが先駆け。「社長は発想力がすごく、人を引き付ける魅力がある。何より笑顔がいいんです」と広報マネージャーの廣瀬千賀子さんは評す。自他ともに認める「ひらめき人間」。この難局をどんなアイデアで乗り越えるのか注目される。
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