ケーススタディー: パナソニックセンター東京様

NEXTコミュニケーション課
係長 那須瑞紀氏
パナソニックセンター東京、特別企画展「SPORTS×MANGA」
オリンピック・パラリンピック機運盛り上げ
スポーツの新たな魅力、世界へ発信
私はBtoC向けのコミュニケーションを担当する課に所属し、今回の特別企画展が行われた1階のオープンスペースを中心とした展示・イベントの企画運営に携わっています。このところ活動の中心となっているのが、オリンピック・パラリンピックのムーブメント醸成です。

2002年9月に総合情報受発信施設として「パナニックセンター東京」オープン。開設以来、来館者数は、191カ国1,000万人に上る(2019年9月現在)。2019年度経済産業省の「おもてなし規格認証」最高位である「紫認証」を取得。
特別企画展は、オリンピックとパラリンピックのムーブメント活動という位置づけです。文化的な視点でスポーツを発信しようと、昨年はフォトアートを通じてスポーツの魅力を伝えました。今年は東京大会直前の特別企画展で、その集大成となります。このため一番パワーのあるコンテンツで勝負したいと考え、日本が誇れる文化であるマンガを選びました。
スポーツマンガには、「尊敬」「ライバル」「成長」「友情」といった要素が織り込まれ、オリンピック・パラリンピックのバリューと重なります。マンガには人と人との距離を縮める、カジュアルさもあります。皆さん、それぞれの世代で親しんできた作品というものが1つはあるのではないでしょうか。スポーツとマンガを掛け合わせれば、多くの人に届くのではないかと考えました。

㊨「左ジャブで葉っぱ10枚!」。「はじめの一歩」のトレーニングを体験
㊧マンガの名セリフはオリンピックの名場面とリンク
自分がマンガの中に入ったかのような空間づくりを目指し、マンガと同じように第1章から7章まで順にご覧いただけるようにしました。
ただ、コマはあってもページ全体が見えるようにしたいと思い、章ごとに壁で仕切ったりせずに、見え方を変えるなどして、会場全体がマンガのコマ割りのようにしつらえました。お客様には展示物だけでなく、空間そのものからマンガを感じてもらえたのではないかと思います。
「テニスの王子様」の「無我の境地」はその場に立てば視覚的にオーラを感じることができ、言葉が分からなくても、子どもから大人までみんなが楽しめ、外国の方にも人気で、一番のインスタ映えのコーナーになりました。
マンガで表現される効果線もそうですが、熱量とか覇気のようなものは、実際には目には見えません。でも、私は確かにあるものだと思います。それを目に見えるようにしているのがマンガならではの表現です。

マンガの展示会といえば従来、作家さんの直筆原画が並ぶ原画展がほとんどで、マンガをデジタルで表現するといっても、そのイメージがなかなかわいてきません。デモ動画を作っては関係各所で確認していただき、何度もやりとりしました。

当社はパナソニックの技術だけでなく、さまざまな技術を活用し、お客様に共感してもらえるようなソリューションを提供しています。
今回はマンガがテーマで、どんなことができるか議論していくうちに、あるワンシーンを再現しようということになりました。マンガの世界に入り込むような没入感を技術でどう表現するのか、それが大きな課題でした。ラケットを持って指定の位置に立つと、前方の画面に映し出された自分の姿に変化が起こります。これはカメラのセンシング技術を活用したもので、モニターに設置されたカメラを見つめると、画面に煙のようなエフェクトが発現し、マンガと同じような「無我の境地」の発動時に出るオーラが再現されるという仕組みです。このオーラを適度に演出することがとても難しかったですね。オーラを出し過ぎるとマンガとは別世界になってしまいます。今回の企画では、マンガの世界観やファンの思いを壊さないということが大前提でした。
待望の「東京2020」がやってきます。何らかの形で関わることができたらいいですね。技術者として、お客様の心に残るような体験をどうやったらお届けできるのかと考えると、ワクワクします。

おなじみの「キャプテン翼」からは立花兄弟の必殺技「スカイラブハリケーン」を再現しました。高橋陽一先生が企画展のためのに描き下ろしてくださった原画を、当社のスポットライト型プロジェクター『スペースプレイヤー』を使用して、チョークアート風にしてスクリーンに映しました=写真。
「キャプテン翼」で育った世代のお父さんが、子どもと一緒に立ち止まって、楽しんでいました。それぞれのコーナーでいろんなマンガを紹介していますが、どのマンガで立ち止まるかで、その方の年代が分かってしまいます(笑)。

マンガはスポーツと私たちの距離を縮めると言いましたが、いまパラスポーツの認知を高めるのに大きく貢献しているのがマンガやアニメです。井上雄彦先生の「リアル」は東京2020大会の招致が決まる前から車いすバスケットボールを描き、等身大のパラスポーツというものを世の中に教えてくれました。
2020年にパラリンピックの東京開催が決まった後も、NHKの「アニ×パラ~あなたのヒーローは誰ですか~」、東京都が公開した映像「Be The HERO」「FIND YOUR HERO」などのアニメは、パラスポーツのすばらしさを伝えています。
パラスポーツを扱ったエリアでは、マンガやアニメを紹介しながら、ブラインドサッカー用のボールや車いすバスケットボール用の車いすも展示しました。競技用具は展示するだけでなく、実際に体験してもらいました。
パラスポーツはまだまだ一般への認知は十分とは言えず、その「魅力」を知る前の段階だと思います。こういった企画展などの体験をきっかけに、関心を持ってもらえたらうれしいです。
最近では、パラスポーツマンガの多様化も進みました。義足で走るヒロインを描いた重松成美先生の「ブレードガール」、車いすラグビーを題材にした肥谷圭介先生の「マーダーボール」も話題を集めています。
施設ができた当初はコーポレートショウルームとしての位置づけでしたが、時代や会社の戦略に即して発信する内容も日々更新され、多彩な顔を持つに至っています。以前は1階の展示はBtoC商品中心の内容となっていましたが、ビジネスユース専用の展示施設「Wonder Life-BOX」も設けました。
パナソニックでは現在、法人向け製品・ソリューションにシフトしていることもあって、PC東京でもBtoBの要素が大きくなってきました。「Wonder Life-BOX」や4階にある「ビジネス・ソリューションズ」のフロアを中心とした「ビジネス」、理数の魅力を体験できる2・3階の「リスーピア」による「次世代育成」、2015年に1階に開設したオリンピック・パラリンピックの教育を支援するコーナー「Active Learning Camp」をはじめとする「オリンピック・パラリンピック」、この3つが近年の活動軸になっています。
PC東京の地元である江東区内の公立小学校の5年生がオリンピック・パラリンピック教育の一環で、当施設を年間約4000人訪れています。特別企画展の開催中は「Active Learning Camp」「リスーピア」とセットで、スポーツ以外にも他者への理解を深める学習も合わせて行われています。
残すところオリンピックもパラリンピックも1年を切りました。今後も継続したムーブメント活動はもちろん、2020年以降に向けたレガシー形成も視野に入れながら検討を進めています。
パナソニックの理念「A Better Life,A Better World」と重なり合うのは、オリンピック・パラリンピックだけではありません。「2020」のその先に目を向けながら、社会課題の解決を目指し、具体的な取り組みやソリューションを提案できるような、そんな場所にしていきたいと思っています。
オリンピックの公式スポンサーをはじめ、企業スポーツ活動を重視するパナソニック。ラグビーのワイルドナイツ、バレーボールのパンサーズ、アメリカンフットボールのインパルスは、同社の企業ブランドやコーポレート・アイデンティティを高める資産である。PC東京で広報を担当する企画課の佐野常実さんはインパルス出身。「ウェブを中心に新聞やテレビなど大変多くのメディア露出がありました。広告換算値は9月末時点で、1億円に迫る勢いです」と佐野さんは話す。
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