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ケーススタディー: 日本生命保険様 (2016年1月号掲載)

※数値等のデータは掲載当時のものです。
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日本生命保険
広報部 担当課長
(東京広報室長)
板並夏郎氏

「揺るぎない国内No.1」を目指す日本生命保険
合併や好業績、メディア露出急拡大
スポーツ活動やCSRも「全職員で」
2015年の生保業界で最も注目を集めた日本生命保険。中でも三井生命との経営統合に関するニュースは多くの媒体で記事化された。15年の都市対抗・日本選手権の2冠を達成した野球部の活躍とあいまって、日生の存在感が高まっている。3カ年経営計画ではすべての職員で前へ進む「全・進」を掲げる。精力的に展開するスポーツ振興、社会貢献活動などCSRにも全員で取り組んでいる。
15年は三井生命との経営統合を発表し、メディア露出も急拡大しました。

15年は日本全体でM&Aが活性化した年でした。生保業界でも11年ぶりの大型再編となり、注目をいただきました。

また10月にはオーストラリア大手銀行の保険事業の買収を発表し、そのほかに提携も相次ぎました。こうした断続的な発表が、メディアの注目を集めた理由ではないでしょうか。

三井生命との統合では、11月の「第2四半期(上半期)報告について」のリリースで「参考資料」として、今後の予定を掲載しました。最新情報の発信に腐心する様子がうかがえます。

経営統合や買収、提携の発表では基本合意の段階では意図や狙いということが重要ですが、今後どうなっていくのか、発表後のスケジュールも関心の高い要素だと思います。

統合・買収を発表して終わりではなく、メディアの求める最新の情報を適宜、リリースに落とし込んでいくことが大事だと思います。

広報活動ではどんな点に気を配っていますか?

「新しい商品が出ました」「こんなアンケート結果が出ました」と“事柄”だけをストレートに出していてもメディアに取りあげていただくことは難しいと考えています。

広報は、メディアがどんなことに関心があるのかについて常に意識していなければなりません。媒体ごとの特徴、記者それぞれの関心事も違っています。当社では媒体ごとに担当を決め、記者の方とのコミュニケ―ションを密に取れるようにしています。

広報は毎日が勉強です。人事や決算など発表すべきニュースに加えて、会社のプレゼンスを高めていくための発信には社内から情報を取ってこなければ始まりません。関係部門と定期的にコミュニケーションを取れる仕組みをつくり、広報案件の発掘には気を配っています。

担当者はメディアに“刺さる”情報を社内から集めてきます。それを取りあげてもらえるように、広報部では“事柄”だけをお伝えするのではなく、「シナリオを練って」発表するようにしています。

「シナリオを練る」とは具体的にどういったことでしょうか?

日本生命の視点だけで構成されている情報はなかなか刺さりません。業界内のトレンド、景気や法改正の動きといった世の中の動きを踏まえ、そこに私たちが取り組んでいること、やろうとしていることを合わせていくということです。

例えば、新商品のリリースでは商品の概要といった事実だけでなく、今社会の動きの中でどんな提案ができるのか、その背景や当社の考え方を一つのシナリオにしてご説明するようにしています。

現在、女性の活躍推進が政府の重点政策にもなっていますが、社会の動向と合わせて、当社でどのような取り組みが行われているのかをお話するという姿勢を取っています。

都市対抗・日本選手権の2冠を達成した野球部の活躍も目立ちました。

 優勝した15年の都市対抗野球。応援には社員をはじめ社外からも多くの人が詰めかけ、スタンドがコーポレートカラーの赤で染まる

都市対抗では延長14回での優勝、日本選手権も9回逆転サヨナラの優勝と劇的な優勝で2冠を達成しました。試合をするごとに強くなっていき、応援にも力が入りました。

試合には社外の方にもお声掛けをしています。お客様はもちろん、中には経済部の記者の方や他社の広報の方も来てくださり、スタンドで一緒になって声を枯らしました。選手は当社の職員で身近な存在ではありますが、社内外の多くの方との応援によりコーポレートスポーツの持つ「一体感」というものをあらためて感じました。

応援団は職員で構成された“自前”の応援団になります。東京応援団・大阪応援団に分かれており、それぞれにリーダー、チア、ブラスバンドがいます。大きな試合では両応援団が一緒になってグラウンドに大声援を送っています。

野球部の活躍でメディアへの露出が増え、大いに注目をいただきましたが、それ以上に社内に明るさや活気をもたらしてくれました。

女子卓球部も強豪として知られています。

スポーツ教室を開催する女子卓球部(山口支社)

12月に行われた日本リーグ年間王者を決定する「JTTLファイナル4」で準優勝しました。2015アジア卓球選手権大会には田代早紀選手と若宮三紗子選手が出場しました。団体・個人ともに好成績を挙げ、実業団の強豪として注目をいただいています。

両部とも各地で精力的にスポーツ教室を開催していますね。反響はどうですか?

同教室の野球部(富山支社)

当社には全国約1500の営業所があり、約5万人の営業職員が在籍しています。全国津々浦々において、お客様をはじめ地域の方々との深く長いお付き合いに支えられてきました。

社会貢献や地域とともに成長していきたいということは当社にとって非常に重要なテーマです。CSRの柱の一つとして地域社会への貢献に取り組んでいます。その中で子どもたちを対象にスポーツ教室を全国各地で開催しています。

各地域の支社が学校などに呼びかけて参加者を募り、事前準備や当日の運営に協力しています。近年は重点的に東北の被災地で開催し、好評を得ております。

CSR先進企業としてメディアに取りあげられる機会も多いですが、15年3月に発表した社会貢献活動「ACTION CSR-V」について教えてください。

ニッセイ「森の探検隊」

「ACTION CSR-V〜7万人の社会貢献活動〜」と称して全国で働く約7万人の役員・職員で社会貢献活動に取り組んでいくことを、3カ年経営計画の柱の一つとして掲げています。

これまでも地域社会への貢献として、使命感と公共心を持って全国の支社がボランティア活動に参加してきました。これをさらに拡大した形になります。活動は多岐にわたり、コーポレートスポーツの教室もありますし、清掃活動、植樹・育樹もあります。

1992年から継続的に行っている森づくりでは、全国の“ニッセイの森”に累計131万本を超える植樹を行ってきました。最近では植樹から下草刈りなどの育樹に活動がシフトしてきました。

活動には当社の職員だけでなく地域のお客様も一緒になって汗を流しています。社会貢献活動では活動の様子だけでなく、当社の考え方や姿勢を知っていただきたいという思いでSNSでも積極的に発信しています。

■ACTION CSR-V〜7万人の社会貢献活動〜

職員がさまざまな社会貢献活動に取り組んでいる。参加した役員・職員は14年度には2万2000人。全支社で取り組みを開始した08年からの累計は計12万人に及ぶ。
14年度の「ダイバーシティ経営企業100選」に選ばれました。女性が活躍する企業としても注目されています。

当社の従業員の約9割が女性で、女性の活躍は会社の成長に欠かせないとの認識のもと、 女性の活躍推進を経営戦略と位置づけています。08年に専管組織「輝き推進室」を設置し、女性職員のキャリア形成支援や男性職員の意識改革に取り組んできました。

女性が生き生きと働くためには、男性の意識も変わらなければいけません。取り組みを社外に発信することも大事ですが、むしろ社内への発信に力を入れているところです。日本企業全体では、男性社員の育休取得率は2%程度にとどまっていますが、当社は13年度、14年度と育休取得率100%を達成しました。この数字のインパクトから、多くの媒体で取りあげられました。

記事になれば社内で女性の活躍推進の取り組みを進める上で“追い風”になりますし、何よりも担当者や部署の励みにもなります。

冒頭にお話しした、社内での情報収集においても好循環を生み出します。広報にこれまで以上に情報が集まってきて、広報も記者の方に話題をより提供できるようになるので、記事化されやすくなります。「日生には面白い話題がある」と最近、メディアからの認知も上がってきたと手応えを感じています。

最後に、今後の情報発信など広報活動についての展望をお聞かせください。

昨年、当社の露出は上がりましたが、単純に買収・提携といった大きなニュースがあったということだけでなく、手前味噌になりますが、広報のこれまでの地道な積み重ねが、功を奏した面も少なからずあるのではないかと考えています。

インナー広報の重要性を今、再認識しています。掲載された記事は担当者や当該部署とも共有するようにし、全社でメディアリテラシー向上を図っています。

当社の業容は幅広く、保険の販売以外にも機関投資家としての側面もあります。株式投資においては、国内における民間の機関投資家では最大級の投資を行っています。今後は皆様にまだ認知されていない面も含めて積極的に発信していきたいですね。

また、ビジネス以外にも人事や労務など働きやすい環境づくりについても世の中の動きと合わせて、当社の姿勢や考え方を含めて発信していきたいと考えています。

<日本生命保険相互会社> 創立:明治22(1889)年7月4日
日本生命は大阪発祥の企業だ。本部機能は東西に分散され、広報も東京・大阪双方に置く。「決算は東西で同時発表です。関西の資産運用を通じた取り組みや関西の経済界での活動の発信も多いですね」と板並課長。情報は毎週テレビ会議を使い東西で共有。「広報は総力戦。部員は各分野でオーナーシップ(主体性)を持ち最後までやり抜くようにしています」と話す。