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ケーススタディー: TANAKAホールディングス様
 (2014年12月号掲載)

※数値等のデータは掲載当時のものです。
※文章や画像の転載・転用はご遠慮ください。

TANAKAホールディングス
貴金属本部 広報広告室
広報セクションマネージャー
井上紋子氏

GINZA TANAKA、キャラクターをモチーフに高額商品
日本のクラフトマンシップ、世界に発信
「ブランドに磨きをかけ続けたい」
クリスマスのイルミネーションで輝く銀座の街の一角に、ひときわ目を引く店舗がある。田中貴金属ジュエリー直営店のGINZA TANAKA。2014年11月、今年も店頭に豪華なクリスマスツリーが登場した。大ヒット映画「アナと雪の女王」をモチーフにした純プラチナツリーだ。2014年だけでも『純金 GODZILLA』『純金製 くまモン』と立て続けに高額商品を発表。貴金属ジュエリーの老舗はブランドに磨きをかけ続ける。
2014年、純プラチナ製ツリーがメディアで「アナ雪」ツリーと評判を呼びました。

『ディズニー プラチナクリスマスツリー 〜アナと雪の女王〜』(2014年)
高さ約2.6メートル、純プラチナ約31キログラムを使用。雪山に見立てたプラチナ製の八角錐に映画の中から8シーンを再現

GINZA TANAKA銀座本店でツリー展示を本格的に始めたのは、2011年に華道家の假屋崎省吾さんとコラボレーションした『ゴールドクリスマスツリー』からです。

2014年はなんといっても「アナ雪」ですよね。映画も大ヒットしました。ディズニー社様からお話をいただき、「アナ雪」以外のキャラクターを含めて社内で検討したところ、「やはり『アナ雪』は外せない」ということでツリーを含めて、2014年は「アナ雪」をモチーフにして商品開発することを決めました。

「アナ雪」は美しい銀世界が印象的です。この世界観を再現するためには金ではなくプラチナではないかと考えました。

金はもとより、日本のプラチナ加工技術には目を見張るものがあります。プラチナは金に比べても融点が高く、粘り気があることなどから加工が難しいと言われています。プラチナツリーは初の試みでしたが、当社の技術をもってすれば可能だと自信をもって取り組みました。

PRはいつから始めたのでしょうか?

『ディズニー 純プラチナビッグカレンダー2015 〜アナと雪の女王〜』 (2014年)

11月19日にメディア向けの取材会を銀座本店で行いました。一般公開に先駆けて開店前の朝9時から10時半までという時間を設定しツリーを撮影していただきました。

取材会には24媒体に出席していただきました。ウェブのニュースにすぐアップされましたし、お昼すぎのテレビのワイドショーにも取りあげられました。それをご覧になったお客様が夕方、お店にお見えになるといった感じで、お客様の反応も早かったですね。

12月3日の「カレンダーの日」に合わせて「アナ雪」をモチーフにした純プラチナ製ビッグカレンダーの取材会を開いたのですが、ツリー以上にテレビなどで大きく取りあげていただきました。反響が大きく発表翌日から問い合わせの電話が鳴り止まなかったほどです。

ツリーは店内に固定されているので銀座本店でしか見ることができませんが、カレンダーはテレビ局への持ち込み依頼も続きました。2015年2月にかけて福岡、大阪など7都市を巡回します。地方でも展示初日に取材会を開き、地元メディアにもお披露目しています。ツリーとカレンダーの相乗効果は大きかったと思います。

ディズニーキャラクターをモチーフにしたクリスマスツリーは恒例となっていますね。

『ディズニー ゴールドクリスマスツリー2013』(2013年)

『ディズニー 純金製小判 ミッキー&ミニー 千両箱』(2014年)

※カッコ内は発表年 ©Disney ©Disney/Pixar ©Disney. Based on the “Winnie the Pooh” works by A.A. Milne and E.H. Shepard.

2008年に映画「ナショナル・トレジャー2/リンカーン暗殺者の日記」のDVD&ブルーレイディスク発売を記念したオープン懸賞として『黄金のミッキーマウス像』を製作しました。

『黄金のミッキーマウス像』は海外メディアからも取材を受けるなど国内外から大きな反響を呼びました。これがきっかけとなって2011年からディズニー社様とのライセンス契約による商品開発が始まりました。

これまでミッキーマウスをモチーフにした純金製の大判・小判や兜といった工芸品等を手掛け、いずれも好評を博しています。大判・小判アイテムは2012年から毎年、期間限定で販売してきましたが、販売好調を受け2014年に定番商品化しました。

『ディズニー ゴールドクリスマスツリー』は2012年、2013年と続けて製作・発売し、2013年の純金ツリーは「Happiness is a state of mind. 幸せは心の中にある」というテーマで価格は当社で製作したツリーで最高額の5億円になりました。

ツリーに限らず、キャラクターや著名人をモチーフにした高額商品を発売されています。いつごろから始まったのでしょうか?

GINZA TANAKAは国産初となる懐中時計の製造・販売をはじめとして、国内初の商品や当時の世相を反映するさまざまな商品を次々と世に送り出してきました。

代表的なものとしては1964年に発売した『東京オリンピック公式記念メダル』です。金、銀、銅の3種のメダルで発売日には行列ができ、プレミアムがつくほどの人気が出ました。

著名人とのコラボレーションは1987年発売の『マイケル・ジャクソン訪日記念メダル』が起源となっています。マイケルさんの来日公演を記念したゴールドメダル7000個限定で発売されましたがすべて完売しました。

マイケルさんのコーディネーターの方の手記には、マイケルさんのスター性や当社とのかかわりが描かれています。それによるとメダルのデザインをめぐって常にベストを求めるマイケルさんの姿勢が垣間見えます。多忙な中にもマイケルさんはルーペを手にして綿密に確認されたといいます。マイケルさんの熱意に当社の製作スタッフも応え、最終的にはご本人も納得のいくようなメダルに仕上がりました。

著名人とのコラボレーションは歴史に残るものをつくることができ、社員ひとり一人の誇りを生むという点で大変得難い経験をさせていただいています。

高額商品にどんな企業メッセージがこめられているのでしょうか?

プラチナツリーは3億円、ビッグカレンダーも1億円と大変高額となっています。もちろんお求めいただきたいという気持ちは持ちながら、それ以上にGINZA TANAKAを知っていただきたいという思いが強いですね。

店頭に3億円のツリーを飾っているなら見てみようと実際に足を運んでいただく、そんな機会をまずご提供していきたいと考えています。GINZA TANAKAを知り、ゆくゆくはお客様になってもらえればこんなうれしいことはありません。

新しいお客様が増えることは3億円のツリーを購入していただくことに勝るとも劣らない価値をもち、GINZA TANAKAの“財産”になっていくのだと確信しています。

高額商品のモチーフをどのような基準で選定されているのでしょうか?

『メッシの黄金の左足』(2013年)※販売終了

日本のみならず世界的にも知られているキャラクターとのコラボレーションは当社にとってもステータスになりますし、ブランド価値の向上にもつながります。選定基準としては、そういったブランドイメージを高めるものであることが前提であると考えています。

2014年は『純金 GODZILLA』『純金製 くまモン』も話題になりました。

『純金 GODZILLA』(2014年)
=TM&©TOHO CO.,LTD.

『純金 GODZILLA』は、「ゴジラ」生誕60周年を受けてGINZA TANAKAから記念商品の製作を、特技監督の故・川北紘一監督に提案しました。

通常、発表会は銀座本店で行っていますが、7月に大阪で開かれた映画「GODZILLA」の試写会イベントに合わせ、『純金 GODZILLA』をお披露目しました。その後、東京・大阪で開催された「G博」に出展し、初日を中心に多くの取材が入りました。

『純金製 くまモン』(2014年)

『純金製 くまモン』は3月に熊本で開催された「くまモン誕生祭」で、誕生日を記念して製作・発表して話題となり、商品化への期待が高まったため5月に1億円で発売しました。熊本県のご当地キャラクターとはいえ、全国で大きな反響を呼び、各地で取材もひっきりなしでした。

『純金 GODZILLA』は背びれや爪など尖った部分に光沢仕上げを施しながら、リアルな皮膚感を再現しました。『純金製 くまモン』も純金で滑らかなシルエットを出すことができ、GINZA TANAKAの高い加工技術をアピールできたのではないかと思います。技術だけでなく本物の貴金属の素晴らしさを皆様に今後もお伝えしていくことは当社の使命であると考えます。

夏の風物詩として「七夕まつり」もメディアによく取りあげられますね。

毎年恒例の「七夕まつり」
各店舗で取材会が行われる

「七夕まつり」は2014年で14回目になりました。仙台店は「仙台七夕まつり」が8月の初めにある関係から7月から8月上旬の開催となりますが、銀座本店やそのほかのお店では6月中から、お客様に金箔の短冊に願いを書いていただき店内に飾り始めます。毎年七夕近くになると金箔の短冊が鈴なりになりますね。

皆さまからお預かりした短冊は、「七夕まつり」終了後に地域の神社に奉納しています。こちらも各店舗で取材会を行い、それぞれ取材を誘致しています。浴衣姿のスタッフがモデルになり夏のイメージを演出し、メディアの方に好評です。

今後の予定など展望をお聞かせください。

ディズニー社様との商品開発については今後も積極的に取り組んでいきたいと考えています。また、世相や時代の空気を感じ取り、お客様のニーズに合った商品開発を引き続き行っていきます。2020年の東京五輪に向けて盛り上がっていますが、機会があればぜひコラボレーションさせていただきたいですね。日本を訪れる外国の方もますます増えていくと予想されます。日本のクラフトマンシップをアピールする絶好の機会となるので、海外への発信力をより一層高めていきたいと思います。

※文中の価格は税込み価格

<田中貴金属ジュエリー株式会社> 創業:1892年
高額商品の中には買い手がつかなかったものもあるそうだ。「溶かして元の素材に戻し、次の商品となって再登場することもあります。希少価値の高い貴金属は限りある資源ですので、大切にしなければなりません。できる限り再利用するようにしています」と井上さんは話す。