ケーススタディー: SGホールディングス様
(2014年4月号掲載)
SGホールディングス
社長室 広報・CSRユニット
アシスタントマネジャー
小泉友紀氏
今後はグループブランド浸透に力
「女性のセールスドライバーを前面に出してみたらどうか」。社内ではこういった声もありました。でも、当社の男性ドライバーのモテエピソードには事欠かなくて(笑)。
バレンタインデーにチョコをいただいたり、お伺いする会社の女性社員が毎日心待ちにしてくださったりと以前から人気がありました。
ネット上にもいくつもファンサイトが立ち上がっていてファン同士盛り上がっているという……それを素直に受け止めて男性ドライバーに光を当てたPRをしたらどうかと提案したのです。
ホームページに「今週のセールスドライバー」というコーナーを設けたのが1999年でした。以後、2000年から2002年まで『AERA』にドライバーをメインに据えた広告出稿をするなど継続的なPRを続けました。
2011年にテレビ番組で、ある有名タレントさんが当社のドライバーに夢中になる様子を「佐川萌え」と呼んでくださったんです。「佐川萌え」という言葉が面白かったのでそれを広めようと本格的に広報活動に取り組みました。
サービス業である当社の強みはドライバーの現場力です。
当初は“イケメンドライバー”といった取りあげ方が目立ちましたが、当社としては外見だけでなくドライバーの内面も訴求したいと思い「佐川萌え」の定義を明確化していきました。
入社すると3日間の新人研修があるのですが、そこでみっちりと礼儀作法を習得し、創業から受け継がれる「飛脚の精神」や顧客第一主義を教え込まれます。研修制度を内面的な要素として併せて伝えていきました。
そうして実を結んだのが2011年7月に『AERA』に掲載された「夕方6時は『佐川萌え』タイム」という特集記事です。これが話題を呼んで2012年に人材マネジメント本の『佐川萌え』(ジュリアン刊)、写真集『佐川男子』(飛鳥新社刊)が相次いで発売されました。写真集以後、取材依頼が殺到しました。
「佐川男子」とは・・・2012年に写真集『佐川男子』(飛鳥新社刊)でブレークし、その勢いは同年の新語・流行語大賞にノミネートされたほど。今「佐川女子」にも注目が集まっている。
経済広報センター主催の2013年「企業広報功労・奨励賞」を受賞
取材に関してはよほどのリスクがない限りお受けし、一つ一つ丁寧にお応えするようにしています。
一番難しかったのが現場の理解を得ることでした。多忙なドライバーの時間を割くので営業所の所長の協力は欠かせません。
先ほど申しました「佐川男子」の内面をきちんとお伝えし、取材後には露出状況や反響などを現場へこまめにフィードバックしました。
メディアからのご要望も誠心誠意ご協力することで掲載スペースが大きくなったり、放送時間が長くなったり、成果は私たちの想像を大きく超えるものになっていきました。広報として心良く取材できるような気配りが大切です。
写真集の発売を記念して行われた握手会&撮影会(2012年9月)。報道陣の前で腕を組みポーズする「佐川男子」。報道陣やファンら200人以上が集まった
タカラトミーアーツさんの「佐川男子」フィギュアは現在第3弾まで出ています。そのほか、カレンダーや若手俳優集団の「ネイキッドボーイズ」さんによって舞台化もされました。現在制作中ですが、ソニー・ミュージックレコーズさんより「佐川男子」のエクササイズDVDが7月に発売予定です。
今や縞シャツはブランドアイコンに成長していった観があります。
社外だけでなく社内にも好影響を与えています。「『佐川男子』に憧れて入社しました」といった社員も増えています。リクルート面でも効果が出始めたことはうれしいですね。
大ヒットした写真集『佐川男子』(飛鳥新社刊)
今「身近」「手の届く」というのがキーワードになっています。「佐川男子」は言ってみれば“毎日会いに来てくれるアイドル的存在”でしょうか。
当社のドライバーは「セールスドライバー」ですからコミュニケーション能力が高いのが特長です。お客様もそこに親しみやすさを感じてくださっているようです。
それと道案内から人命救助まで困っている人を放っておけないドライバーが非常に多い。世のため人のためと地道に仕事に打ち込む姿も日本型経営の美点として再認識されているのかもしれません。
2011年に女性社員の活躍とワーク・ライフ・バランスの推進を目指してグループ横断の「わくわくウィメンズプロジェクト」をスタートさせました。
近年、通販市場が拡大し、女性が同性の配達サービスを望むケースも増えてきました。荷物も小型化し扱いやすく女性ドライバーが活躍できる環境になっています。「佐川男子」と相乗効果で「佐川女子」もメディアに取りあげられるようになりました。
2014年度末までにグループ収益の30%を女性が担う体制を構築しようという目標を掲げています。引き続き「女性の活躍推進」が広く認知されるようなPRに力を注いでいきます。
SGホールディングス設立から8年が経ちますが「佐川急便」の知名度の高さに比べてSGホールディングスの浸透が課題です。今後はグループのブランド強化も図っていきたいと考えています。