ケーススタディー: NTTドコモ様 (2014年1月号掲載)
NTTドコモ
社会環境推進部
社会貢献担当課長
鈴木洋氏
NTTドコモ
プロモーション部
メディアプランニング担当
主査
塚本達郎氏
NTTドコモ
コンテンツビジネス推進部
セキュリティサービス
第一推進担当
藤本智士氏
新宿駅階段の交通広告も話題に
鈴木: 歩きながらスマートフォン(スマホ)を使う「歩きスマホ」の危険性が増しています。ゲームやアプリに夢中になり画面を注視しながら歩いてしまう「歩きスマホ」は、知らず知らずのうちに行ってしまうので本当に怖いのです。
当社では2011年から新聞や雑誌、ラジオでの注意喚起を目的とした広告、または店頭でお客様にお配りするツールにおいて「歩きスマホはやめましょう」などと呼びかけています。また、2004年から実施している「ケータイ安全教室」内でも啓発を継続して行ってきました。
昨年6月にはJRの駅にてスマホを操作していた小学生がホームに転落する事故がありました。「ケータイ安全教室」のインストラクターを通じて「歩きスマホ」が危ないということ、被害者にも加害者にもなりうるのだということについてお伝えしているところです。
塚本: 年間の乗降者数が日本で一番多いターミナル駅であることからJR新宿駅を選んだわけですが、時期についてはお客様の利用が多いお盆期間中を狙って、2013年8月5日から18日までの2週間、東口出口付近のステップと側面に掲出しました。
新宿駅に昨年8月掲出した特大マナー広告。「本人はこの広告見ないだろうけど」と柔らかいコピーも
世の中の話題と関心を引くためにはニュースとして取りあげられるのが一番だと考え、リリースを配信しました。その結果、「Yahoo!トピックス」で2度取りあげられたほか、新聞・雑誌などでもかなりの媒体で取りあげられました。通信業界の動きに先んじる形にはなりましたが、こうして先例をつくることができ、手応えを感じています。
啓発広告は話題になりにくいテーマですので、事業社主体の発信はもちろん、報道により皆様の関心事となることで「歩きスマホ」の危険性に気づいていただけたらという思いで取り組みました。
表現の部分では少し「遊び」を加えました。目を引く黄色を主体にコピーも堅くならないようにして、取りあげていただけるような種を作りました。
反響はいいですね。予想を超えるといっていいかもしれません。当社の公式フェイスブックでも、社会性の高い記事では過去最高のエンゲージメント率になりました。
「歩きスマホ防止機能」のイメージ
藤本: 「歩きスマホ」の事故防止に向けて、啓発活動だけではなく、具体的なサービスとして何かできないかと考え、今回提供させていただいたのが「歩きスマホ防止機能」です。
「歩きスマホ」の危険性が特に高いと思われるお子様を事故から守るため、お子様がご利用されるスマホの各機能を保護者の方が制限できる「あんしんモード」というアプリに本機能を追加しました。
スマホ内の各種センサー情報等をもとに「歩きスマホ」をしている場合は警告画面が表示され、スマホを操作できなくするという仕組みです。お子様を事故から守り、より安心してスマホをご利用いただくために、今後も検知精度や制限レベルの適正化を図っていきたいと考えています。
受講者に応じた内容が好評の
「ケータイ安全教室」
鈴木: 2004年から始め今年で10年を迎えます。2013年3月時点で受講者が500万人を超えました。近年では年間90万人以上の方が受講され、入門編、応用編、保護者・教員編、シニア編、特別支援学校編の5つのカリキュラムをご用意し、学校や地域の生涯学習センターにインストラクターを派遣しています。
2012年度からスマホに関する内容を充実し、利用シーンや環境の変化にも対応しています。クイズ形式や再現ドラマなどを使って、事故やトラブルの事例をお伝えしながら対処法やルール・マナーをご説明しています。
最近では教員・保護者の方々に対する取り組みに力を入れています。「歩きスマホ」以外にも中高生の不用意な書き込みといったSNSに関するトラブルも多発しています。より一層、使う側のモラルが問われています。
この取り組みにゴールはありません。繰り返しルールとマナーをお伝えしていかなかればいけません。
「歩きスマホ」はそれに気づけばやめることができます。その危険性に気づかせるような働きかけが大切だと考えます。トラブルや事故を未然に防ぐことは携帯キャリアとしての使命です。すべての人が安心・安全に携帯電話をご利用いただけるよう、ドコモはこれからも継続して取り組んでいきます。