ケーススタディー: 日本エイサー様 (2013年11月号掲載)
日本エイサー株式会社
マーケティング コミュニケーションDiv.
宣伝・広報担当兼プロダクトスペシャリスト
砂流恵介氏
「低予算だからこそ仕掛ける、攻める」
弊社はダイレクト販売を行っていないため、広告費に予算を割くというより店頭のカタログやPOPを手厚くしたり価格に反映したりしています。
また、トップ集団のPCメーカーとは年間で2ケタほど広告費が違います。限られた予算で最大の効果を出すとなると、ゲリラ的な手法を取らざるを得ないわけです。他社と同じ場所で戦わないようにしています。
「ロケットニュース24」さんが、アップル福袋に目当てのPCが入っておらずがっかりしていた記事の中で、弊社のことを紹介してくださっており、弊社のPCをプレゼントしたいとメールしました。PCを送って終わりでなく編集部へ出向いてお届けしたんです。
「ロケットニュース」は非常に面白いニュースばかり取りあげられるので堅いことをしても始まらない。元々、弊社のPCが『MacBook Air』に見た目が似ていないでもない(笑)。それに弊社のノベルティーを集めて福袋を作りました。
話題になるためには「どうぞいじってください」というネタが必要です。わざとらしくない程度に。そこは意識してやっています。
一体どこの企業ですかと(笑)。動画の中で一切「エイサー」という語を出しませんでした。これを作る上で広告代理店さんと一番最初にした約束事がそれでした。最後までボケっ放し。ニコニコ動画さんだからできたんでしょうね。
どうすればユーザーが反応するか、考えながら作りました。「jace」はメーカーの側からは出てこないアイデア。社内でも反対はありましたが、代理店さんが出す案に全力で乗っかることも大事だと思うんです。
はなからアイデアをはね除けるようなことはしたくない。制約がある中でどこまで遊べるのか、どこまで攻めていけるのか。
PC専門誌から一歩外に出て、モノ系雑誌や女性誌にメディアキャラバンをかけています。
専門誌以外の媒体では業界全体の話をすることが多いですね。例えばタブレットならタブレットが今どのくらい伸びているのか、アンドロイドだけでなく『iPad』も含めて話をするようにしています。
弊社製品だけ掲載されるケースはほとんどありません。弊社製品が代表選手として取りあげられればいいと考えています。それで1つ露出の獲得になりますから。「自社に限らず他社のPCについてもお答えしますよ」とお伝えするようにしています。
雑誌風のPRツール。これを手に女性誌回りをした。
女性誌向けの「女子におすすめのタブレット」というテーマで冊子を作りました。誌面にそのまま使われてもいいくらい気合を入れました。エイサーの宣伝はほとんどありませんが。そもそもタブレットはどんなものか、アップルさんの長所・短所なども盛り込みました。
すぐに露出につながらなくてもいいんです。女性誌の方が何かの時に弊社を思い出していただければ、まずはそれで良いと思っています。
「かわいい子にはタブをさせよう。」をキャッチコピーにした『ICONIA TAB A200』
コピーはコピーライターのタカハシマコトさんに作っていただいていますが、よくおっしゃられるのはネットで検索がかかるかどうか、それとコトバが流通するかどうかということです。
ググって出てくる語が世の中に流通していくと言われます。コピーだけでなくグラフィックもそうですが、一人歩きしていくような言葉を用意してくださいます。
製品名の所に「マンガロイドZ」と入れてくれる量販店もありました。キャッチコピーがここまで受け入れられたのかと感慨深いものがありました。
マイクロソフトさんの『サーフェス』と比べると広告をしていない我々は、露出量で圧倒的に負けています。正面からだと全く歯が立ちません。
他社とは別の側面から仕掛けたことで、一部には深く刺さりましたが、どうしても単発の花火を打ち上げて終わってしまうので、継続的なプロモーションというのが課題になります。
また、「一億総ツッコミ時代」と言われる今、消費者のツッコミのレベルも上がっています。何か新しい形でのゲリラを探さないといけないですね。ゲリラに守りはありません、全力で攻めるだけです。