ケーススタディー: 京王電鉄様 (2013年9月号掲載)
京王電鉄株式会社
広報部 企画・環境担当
中村安公子氏
感謝の気持ち胸に次代へつなぐ
100周年事業の一環として感謝の気持ちを皆様にお伝えしたい、お客様と一緒になってお祝いできるものは何かと考えました。
そこで、お客様からエピソードを募り、ポスターという形にして思いを共有したいと企画をスタートさせたのが「京王沿線物語」です。
エピソードは郵送とウェブで今年1月から3月末まで受け付け、ポスター掲出は4月から始めました。ひと月4種類、各駅の駅貼り、電車内窓上、京王電鉄バスグループの車内窓上を中心に展開し、当社のホームページ(HP)でも紹介しています。
約200点のエピソードが寄せられました。どれも皆様の思いがこもっていて、いいお話が多かったです。選ぶのがとても難しくて。
実際にお客様が体験したものであること、ポスターにご本人がご出演していただけること、沿線の街や人に深く根差しているものという基準で選考しました。
4月掲出分の「再開の発車のベルは、お客さまの拍手でした。」
震災で電車が長時間止まりお客様をお待たせしてしまったにもかかわらず、運転再開の時に拍手で迎えられ感動したことと、運転を再開できたことは仲間のお陰でもあって人とのつながりを実感した印象深い出来事と話していました。
企画の趣旨にとても合うので一番初めにお見せしたいと思いました。
「ももかちゃん」という女の子とお互いに描いた絵を交換したという女性のエピソードで、電車内でのふれあいのお話は他にあまり見当たりませんでした。
本人とお会いして取材していくうちに「2人を再会させてあげたい」という思いが膨らんできたんです。ポスターの文章も「ももかちゃん」に呼びかける形で作りました。
毎日新聞でも大きく取りあげていただき反響も多く、現在も呼びかけているところです。
8月掲出分の「新宿行き、アトリエ号。」
9月からHPに感想コーナーを設けました。
10月の「電車の窓越し、父が教えてくれたこと。」では、柴崎駅を出てすぐに見える畑が写っています。「あのおじいちゃんが耕しているんだ。顔が分かるとより親しみがわきます」という声がありました。
9月に掲出した明大前駅近くの「明大地蔵」は、8歳の女の子が自分のお下がりをお地蔵さんに着させて、通るたびに手を合わせているというほっこりするポスターで、お地蔵さんの場所の問い合わせもいただきました。
社員が出たポスターについても「この人が安全を担っているんだ」と信頼を寄せてくださるようです。お寄せいただいた感想を拝見して、沿線の皆様と一緒に「京王沿線物語」を作り上げているという実感が改めて湧いてきたところです。
2013年4月15日に京王の電車・バスの開業から100周年を迎えました。
当社ではこれを記念して、本格的な運転シミュレーターや引退車両の展示場などを備えた「京王れーるランド」を10月10日に新たにオープンしたほか、昔懐かしい旧塗装バスの運行、高尾山への記念植樹などの施策を実施してきました。
12月15日には沿線の味の素スタジアムで駅伝大会を開催する予定です。
1913(大正2)年4月、笹塚〜調布間(12.2キロ)において電車の営業を、新宿〜笹塚間、調布〜府中〜国分寺間で乗合自動車(路線バス)の営業をそれぞれ始めました。
それ以来、東京都西部を中心に路線を拡張し、沿線の皆様やお客様、その他関係者の皆様に支えられ、現在では京王電鉄は84.7キロの路線において1日約171万人、路線バスにおいては1日約28万人の方にご利用いただくまでになりました。
京王グループでは開業100周年を「これまでの100年の感謝と次なる時代へのスタート」として位置付け、今後も京王グループの理念である「信頼のトップブランド」を目指してまい進します。