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ケーススタディー: ワタミ様 (2013年3月号掲載)

※数値等のデータは掲載当時のものです。

ワタミ株式会社
執行役員
広報戦略室 室長
中川直洋氏

ワタミのCSR広報活動
「広報戦略室」を設置し、企画力強化
多彩なイベントで若者の“夢”応援
ワタミが、創業者で取締役会長である渡邉美樹氏の一つの“夢”からスタートしたことはよく知られている。「外食」事業から始まり、今や「介護」「宅食」「MD」「農業」「環境」の6事業を展開する企業グループに成長。「地球上で一番たくさんのありがとうを集めるグループ」になりたいという理念は各事業に浸透している。ワタミのCSR活動も“夢”抜きでは語れない。企業理念や“夢”をどう伝えようとしているのか。
「広報戦略室」新設の理由を。

当社にはブランド広報グループがありますが、もう少し広報を戦略的にやっていきたいと、この春「広報戦略室」を新設しました。

社長の直轄部署として私1人ですが、通常のルーチン業務以外の部分、現在ワタミで起こっていることや伝えるべきことは何かを察知して、積極的に動いていきたいと考えています。

背景としてこれだけ事業が拡大していくに当たって、日常の広報業務が多くなり、メディアの皆様とのネットワークづくりが弱くなってきたということもあります。それと企画力が弱くなっているとも感じます。私自身が広告代理店のような役割をすればいいのかなと。

今、ワタミが必要としているのはクリエーターだと。そういった点をテコ入れするのが私の役割です。

FMラジオの番組サポートも始めましたが。

J−WAVEで毎週朝6時から放送されている『WONDER VISION』内のコーナーで、『WATAMI FRONTIERS』の提供を4月7日から始めました。社会をよくしようとしている若い起業家を紹介しています。

この番組のリスナーは社会に関心を持っておられる感度の高い方が多く、ワタミとしてはCSRをもっとアピールしていきたい。

まず『WONDER VISION』のホームページ(HP)にワタミのバナーをはらせていただいていますが、そこからワタミの企業ページではなくCSRのページに直接飛ぶようにすれば、もっと若者に関心を持ってもらえるのではないかと思っています。

HPには読み手として面白い企画が必要です。今、考えてるのはネット上で会長の渡邉と社会起業家との対談ができたらと思っています。当社が発行するフリーペーパー『o:kun(オークン)』がありますが、その『オークン』で行ったトークをウェブで展開できないだろうかと企画をあたためているところです。

CSRをPRしていく際のコンセプトは?

みんなの夢AWARD3」では
渡邉会長(右)とノーベル平和賞受賞者のムハマド・ユヌス氏が対談

ラジオもそうですが、メディアの活用、それとイベントの開催、あと店舗でのPRの3つです。

先ほどから若者の“夢”を応援したいと申し上げました。これからの若者のためにみんなで夢を語り、みんなで支援するイベントである「みんなの夢AWARD」を毎年開催しています。ワタミは特別協賛企業としてサポートさせていただき、私も総合プロデューサーとして参加しています。

1月に日本武道館で第3回目がありました。会場には8000人が来場し、いつもながらすごい熱気に圧倒されました。

私は各企業のCSR担当者に協賛を募るため出向いたのですが、企業のCSRというと真っ先に「環境」という声が上がります。私は「環境」ももちろん大事だけれど、若者を応援することこそ今求められるCSRではないかと訴えてきました。「みんなの夢AWARD」は、若者にワタミを伝える重要な場にもなっています。

「店舗」の発信力も大きいですね。

「みんなの夢AWARD3」で
日本をUD先進国に導く“夢”を語り
1位となった垣内俊哉さん

ワタミは6月に行われる書家の武田双雲さんらの「世界感謝の日69」に全面協力させていただいています。店舗ではお客様に手書きで感謝のメッセージを伝える「感謝の日69キャンペーン」を今年も展開します。

さらに、「電気を消してスローな夜を」ということで始まった市民運動の「100万人のキャンドルナイト」では国内のグループ全店の看板の照明を消しました。ロウソクを配ったり、「キャンドルナイト」限定カクテルを店舗でお出ししたり、様々なことをやりました。そういう意味で私は店舗も発信力の大きい重要な「メディア」ととらえています。

今進行中の企画ですが、みなさんもご存知の大手芸能プロダクションとのコラボレーションも近々具現化します。

私は繰り返しワタミにはクリエイトする要素が欠けていると申し上げました。言ってみれば、芸人さんやタレントさんというのは多くの人を楽しませるクリエーターです。彼らと組んで、お店のメニュー作りなどに生かして現場に刺激を与えたい。お客さまの目線に一番近いのは新入社員ですから、彼らと新入社員が一緒になって、お客さまに楽しんでもらえるようなものを作っていければと考えています。

PRの課題は何だと思いますか?

会長の渡邉のみならず、それぞれの事業のメディア露出も増える中で、多くの意見が寄せられてくるようになりました。

メディアとの関係は記者さん一人一人との信頼関係で成り立っています。情報は迅速に、時には顔を突き合わせながらの情報交換の大切さを身に染みて感じています。

メディアを単なる「応援団」としてではなく、厳しい意見を言ってくれるような頼もしい存在になっていただくような、そんな関係づくりですね。

<ワタミ株式会社> 創業:1984年 資本金:44億1000万円
「ここに来ると背筋がピンと伸びます」とブランド広報グループの増子ひとみさん。2012年7月、本社ビル1階にワタミの歴史や企業理念を模型や映像で表現した「ワタミ夢ストリート」を開設。社員教育などに活用され、一般にも公開されている。