早朝新聞クリッピング 広報効果測定・報道分析

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ケーススタディー: RJCリサーチ様 (2013年2月号掲載)

※数値等のデータは掲載当時のものです。

RJCリサーチ 常務取締役
調査サービス部
久野和英氏
RJCリサーチ
調査企画部 営業チーム
事業開発部 開発第一チーム
シニアマネージャー
上野司氏

RJCリサーチの「PRキャラクター・ブランド調査」
事前調査で300キャラクター選定
「総合力」指標化でPR効果探る
カワイイだけじゃありません。マーケティングリサーチを手がけるRJCリサーチが行った「PRキャラクター・ブランド調査2012」(2012年6月)によると、PRキャラクターの「総合力」ナンバーワンは2年連続でソフトバンクの「お父さん犬」。日々、新しいキャラクターが生まれ、流行も目まぐるしく変化する中、どのようなキャラクターが支持されるのか。PRキャラクターのブランド力を指標化することで浮かび上がる企業のキャラクターの効果的な活用とは――。
ランキング化で見えてきたものは?

上野: 近年、企業だけでなく、地方の町おこしなどにもキャラクターが活用されています。そうしたキャラクターを消費者がどのように見ているのか、PR母体にどのようなプラスの効果を及ぼしているのか、それをランキング化したのがこの調査です。

個々のキャラクターの分析はこれまでもされてきましたが、キャラクターのランク付けというのは新しい試みではないでしょうか。

まず2000人に事前調査を行い、想起率の高い上位300キャラクターを選定しました。その後、これらのキャラクターについて15歳から69歳の男女約9000人を対象にネット調査した結果を「PR認知力」「イメージインパクト」「イメージアップ力」「イメージ波及力」を統合した「総合力」で指標化してまとめました。

久野: 300キャラクターの選定については、PRを主目的としないアニメといったキャラクターは含まれていません。

キャラクターも2011年と2012年調査では約4分の1に相当する74キャラクターが入れ替わっています。総合力ランキングを見ますと、上位を占めるのは企業のキャラクターが多くなっています。テレビCMの力は大きいと言わざるを得ません。

上野: ランキングの「総合力」で見ますと、どうしても「認知力」に引っ張られます。やはりテレビCM量が順位に大きく影響します。

久野: キャラクターPRの一番のメリットは、キャラクターを使えば、親しみを持ってもらいやすいということ。

2012年では「ひこにゃん」(滋賀県彦根市 国宝・彦根城築城400年祭)が地域キャラクターとして初のベスト10入りを果たしました。地域のゆるキャラは限られた予算で露出を増やして存在感を高めています。

「お父さん犬」の強さが目立ちました。

久野: 「総合力」1位の「お父さん犬」は算出に用いた7項目のうち「独自イメージ」と「和みイメージ」が非常に強く、また、CMをはじめとする広告量の多さから「PR認知力」もトップとなっています。

興味深いのは2位の「ASIMO」です。「洗練イメージ」と「イメージアップ力」が共に突出して高い。尖がったところを持つ、まさにホンダの企業イメージと重なるのが特長となっています。「ASIMO」の課題である「PR認知力」が上がれば「お父さん犬」もうかうかできません。

上野: 昔ながらのキャラクターも健闘しています。「キユーピー」が3位、「ペコちゃん」も4位にランクインしました。

「キユーピー」は前回9位から3位に上昇しました。7項目ともアップしましたが、特に「PR認知力」「イメージアップ力」「イメージ波及力」が上がりました。このことは「ペコちゃん」にも言えることですが、「和みイメージ」の高さが特長で、長年にわたって親しまれているキャラクターです。

地域キャラクターも話題です。

久野: 「地域」ジャンルでは「ひこにゃん」や「せんとくん」(奈良県 平城遷都1300年記念事業)が1位、2位となっています。

「地域」ジャンルで面白いのは東京タワーの「ノッポン」。東京スカイツリーの「ソラカラちゃん」に引っ張られる形でベスト10入りしました。「くまもん」(くまもとサプライズキャンペーン)や愛媛県今治市の「バリィさん」もこれから躍進が期待されるキャラクターです。

地域キャラクターはいずれも癒しのイメージを持っており、ややもすれば似通ったものになりがちです。例えば「せんとくん」のように、ただかわいいだけでなく、別のスパイス、イレギュラーなものを加えるのも手法としてはあるのかなと思います。

最近のPRの傾向は?

久野: 「お父さん犬」「ポン・デ・ライオン」(ミスタードーナツ)「ひこにゃん」は一気に認知度が上がった代表格ですが、キャラクターは奇をてらいすぎると飽きられてしまいます。

インターネットの台頭で、メディアの多様化が進みました。テレビの求心力については陰りが見え始めています。キャラクターデザイン、メディアの選択などキャラクターを取り巻く環境は楽観できないものがあります。

上野: 企業のキャラクター同士のコラボレーションは新しい動きと言えるかもしれません。ライオンの歯磨き粉に「ガリガリくん」(赤城乳業)が登場したり、サントリーの缶コーヒー『BOSS』のCMにソフトバンクの「お父さん犬」が出演したりして話題になりました。

そのほか、キャラクターを使ってフェイスブックを運営するといった、ソーシャルメディアでのキャラクター活用も今後増えてくると予想されます。

テレビCMなどでは既存のアニメキャラクターを使ったものも目立ちますね。ネガティブな因子のないアニメキャラクターは魅力ですが、企業は自社開発したキャラクターを1、2年であきらめずに、長い目で育てていくということも大切なのではないでしょうか。

<株式会社RJCリサーチ> 設立:1967年 資本金:1200万円
PRキャラクターについて300ブランド以外の消費者チェックも可能。「ポジショニングチェック調査」を活用すれば、新しいPRキャラクター候補や300キャラクター以外の既存キャラクターを一般消費者の目でチェックできる。
【問い合わせ先】調査企画部・上野 電話:03-3526-0020 E-mail:ueno@rjc.co.jp