ケーススタディー: ドワンゴ様 (2012年12月号掲載)
ドワンゴコンテンツ
宣伝部 ニコニコPR担当
古屋涼氏
報道関係者200名が会場で取材
「ニコニコ動画」では2008年頃から政治家の方が出演する生放送を行っていました。
様々な党の方に出て頂きましたが、2010年に当時テレビ出演を控えていた小沢一郎さんが出演したことが話題になり、新聞でも報道されました。
政治を分かりやすく伝える番組に力を入れていて、2012年は自民党や共産党の党本部から生放送という企画も行いました。9月には今回の会場となった「ニコファーレ」で自民党総裁選の公開討論会を開催しました。
12年は特にそうした取り組みが盛んで、最終的には党首討論会などを主催できたらという気持ちはありましたので、衆議院解散が決まった直後から開催に向けて動き始めました。
取材は全メディアに対してフルオープンに
衆議院の解散が明らかになってきたのが14日頃、16日に解散が行われ29日に討論会だったので、2週間余りしかありませんでした。
解散直後に各党にオファーしましたがすぐに返事が来るというものでもありません。かなりぎりぎりまで出演者が確定せず、固まってきたのは直前の2日前位でした。
記者招致を本格的に開始したのもその頃でした。直前まで各党の参加が確定しなかったので、リリースを出すのもぎりぎりのタイミングになりました。
討論会はすべてのメディアに対して「フルオープン」にしました。テレビ、新聞、ネット、フリージャーナリストの方すべてにオープンということです。インターネットを駆使して行う新しい取り組みなので、できるだけ制限を取り払って公平に行うということを意識しました。
フルオープンにしたことでテレビ中継のインフラ確保など難しい点もありましたが、依頼内容には極力対応できるよう努めました。
最終的に10政党に出演して頂くことになりました。まず最初に各党2分ずつ、政策や主張したいことを述べて頂きました。それ以降は増税、TPP、原発の3つのテーマを設け、それに沿ってお話し頂き、その後フリーで討論という流れで行いました。
発言は挙手制で1回の発言は1分以内とし、なるべく皆さん平等に話して頂くように配慮しました。
また、会場となったニコファーレは壁全体がLEDモニターになっています。モニターにはネット視聴者のコメントを適宜映し出し、会場にいる人も見られるようにしました。
当日取材に訪れた報道関係者は、新聞・雑誌、テレビ、ウェブメディア、海外メディア、ジャーナリストなど76媒体200名に及びました。新聞・テレビに関しては5大紙と在京キー局全てが来ていました。
幅広い関心を集めていたようで、新聞記者の所属は社会部、政治部、文化部など様々で、テレビは同じ局でも報道、情報など複数の番組から来ていて、総勢24台のカメラが入りました。
ニコファーレでは記者発表などをよく行うのですが、これほどの人数が集まったのは初めてでした。会場に入りきれない方はペン記者の方を中心にロビーでのモニター中継で取材して頂きました。
ニコニコ生放送でのコメントの様子
当日は討論会の模様を「ニコニコ生放送」で生中継しました。通常ニコニコ動画はアカウントを持っていないと見ることができないのですが、今回は持っていなくても視聴できる設定で行いました。
ニコニコ生放送の総来場者数は140万3551人、書き込まれたコメントは55万2017を記録しました。
今までにも300万人位が見た番組はありましたが長時間の番組でした。約1時間半の生放送で100万人を越える来場者数は、ニコニコ生放送の配信時間あたりの来場者数としては過去最高の数値となりました。
いち早く参加を表明した自民党の安倍総裁が野田首相に参加を呼びかけた経緯や、野田首相が開催前日に出演を決めたこと等が報道され、事前のパブリシティがかなりあったことがあげられます。
また、偶然2日前に同じ会場で東京都知事選の公開討論会が行われており、それを取材した番組内で党首討論について告知してくれたことも大きかったと思います。
さらにニコニコ動画のトップページでは開催当日に大きなバナーを出し、それを押すだけですぐに視聴できるようにしておきました。新聞やテレビを見た人がすぐに番組にアクセスできるように工夫したことも役立ったかと思います。
夏には参議院選挙が予定されています。現在は公示後のネット上での選挙活動が制限されていますが、今後解禁されれば、例えば政治家の方はニコニコ動画でメッセージを発信し、ユーザーの方はそれを見て議論したりというような場を提供できるかもしれません。
政治の世界でもニコニコ動画を有効に活用して頂けるような取り組みを、今後も続けていきたいと考えています。