ケーススタディー: サッポロホールディングス様
(2012年5月号掲載)
サッポロホールディングス
コーポレートコミュニケーション部
広報室 社内広報チーム
チームリーダー 大登貴子氏
RTDチャレンジ元年で社内外にPR
当社は2012年を「RTDチャレンジ元年」とし、前年比で売り上げ3倍を目指すマーケティング方針を打ち出しました。その第1弾商品として1月に発売したのが『CJおいしいマッコリ〈ピンクグレープフルーツ〉』です。
とは言うものの、当社はビールに携わっている社員が多く年月も長いので、ビールに対する愛着が強く、なかなかRTDに目が向かないというのが悩みでした。
この方針をできるだけ早く浸透させ、かつ、立ち上げ感のある取り組みはできないかと商品ブランドの担当と発案したのが、社内外に向けて広報活動を行う「マッコリ美人部」の結成でした。
マッコリ美人部は日本全国の地区本部の代表11名と商品を共同開発した韓国CJ社の日本法人・CJジャパン社の社員5名で結成しました。11月中旬に各事業場に代表1名を出すように依頼し11月下旬に決定、活動期間は発売前後の12月中旬から2月中旬までの約2カ月としました。
全地区本部から代表を募ったのは、各地区がお互いの代表の活動を意識することによって刺激し合い、全社的に盛り上げていけるのではないかと考えたからです。
所属本部内でPOPの説明をする
マッコリ美人部員
『CJおいしいマッコリ』の商品キャッチコピーである「目指せ、マッコリ美人!」を部活動に置き換え、自ら楽しみながら商品の魅力を社内外にPRしていこうというのがマッコリ美人部の目的でした。
活動には大きく3つの柱がありました。まず自分が所属する地区本部内を盛り上げること。例えばキックオフイベントを行ったり、会議の進行を務めたりしました。
次に当社のイントラネット「S Web」に活動報告を寄稿すること。一人当たり2本担当し、1週間に2本のペースで掲載しました。
そして社外に向けた広報活動。サンプリングや記者会見への出席、取材対応などを行いました。
マッコリ美人部員が体験した地区本部や社内外での活動をイントラネットを介して全社に共有することで、RTDチャレンジ元年に対する社員の意識統一を図り、モチベーションをアップすることを狙いとしました。
『CJおいしいマッコリ〈ピンクグレープフルーツ〉』CM発表会に登場したヨンア部長とマッコリ美人部員たち
社内向けの活動としては、12月22日にCJジャパンを訪問、CJ社部員との対談を行いました。
CJ社は韓国ナンバーワンの食品メーカーなのですが、当社でも一部社員を除いて詳しく知られていません。韓国でどれくらい有名な企業なのか、どのような商品を扱っているのか、両社の企業文化の違い等をテーマに対談した内容をレポートにし、イントラネットで紹介しました。
社外向けの大きなイベントとしては、1月16日のCM発表会がありました。韓国出身の人気モデル・ヨンアさんがマッコリ美人部の部長に就任。部員と共に舞台に登場し、マッコリに合う料理を紹介しながら商品の魅力をPRしました。会場には約100社160人と多くのマスコミが集まりました。
当社のイントラネットは、自社の情報をいち早くアップする、全社的に重要な内容を強調するなど、アクセス数を増やす工夫をしてきました。その中でもマッコリ美人部に関する情報のアクセス数は飛び抜けて多かったです。
やはり全地区から代表を出したことで、自分たちの代表や他の地区の代表がどのような活動をしているのか気になった社員が多かったのだと思います。
「ヨンアさんと自分の同僚が同じ舞台に立っているのに感動した」「部員が実体験を生の声で寄せているのが良い」等、好意的な意見を聞いています。
期間限定ではありましたが、今回のマッコリ美人部の活動を通じて、会社としてのRTDチャレンジ元年の意気込みは全国の社員に伝わったと思います。RTD分野では今後もノンアルコールカクテルや『バカルティ』『CJおいしいマッコリ』の新味などの発売が続きます。マッコリ美人部の活動で、順調なスタートが切れたと考えています。
マッコリ美人部の活動が効果的に全社に浸透したのは、日常的にイントラネットにアクセスする習慣が社員に定着していたことも大きかったと思います。
実はイントラネットを立ち上げる前、紙媒体の社内報が廃刊して5年ほど社内広報が不在の時代がありました。社内広報がないと情報の統一化がなされなかったり、情報の優先順位がわからなかったり、翌日新聞を見て初めて自社の情報を知ったりということがありました。
自社への帰属意識がなんとなく薄れている感じもあり、経営側の社内広報が必要だという判断も後押しし、2008年にイントラネットで社内広報をスタートしました。
イントラネットに載せるニュース原稿は広報チームに任されています。特に社員に緊急に知らせる必要のある情報は、公平に、スピーディーに、どのマスコミよりも早く最初に社員に伝えるというのを暗黙のルールにしてきたので、社員もここに来れば必要な情報を入手できるとわかっています。
また、様々な情報がある中で全社員に必ず知ってもらいたいことを目立たせるなど、情報に強弱を付ける工夫もしてきました。こうしたベースがあったことでRTDチャレンジ元年の全社的な盛り上がりを作っていけたのではないかと考えています。