ケーススタディー: ニコンイメージングジャパン様
(2012年1月号掲載)
ニコンイメージングジャパン
ダイレクトマーケティング部
WEBマーケティング課
マネジャー
大塚拓氏
親しみやすさでファン層が拡大
従来、当社のお客様とのコミュニケーションは、製品を購入してカスタマー登録をしている方とイメージング会員(無料)という組織の会員になって頂いた方が中心でした。
どちらもニコンやカメラに対してかなり関心の高い方が自発的に集まる傾向が強い反面、それ以外の広い層にアプローチできないこと、加えて情報発信が一方通行であることが課題でした。
また、今でこそ「カメラ女子」という言葉がありますが、一眼レフは「重い」「難しい」「敷居が高い」とのイメージがあり、実際、カスタマー登録等をしてくれたお客様は30代中頃から60代の男性が多くを占めています。
根強く残る「ミドルエイジ男性向けのカメラ」との印象を打開し、若年層や女性といった新たなお客様とコミュニケーションをとっていくことが課題と考えていました。
最近は『Nikon1 J1』にもチャレンジ
私が担当となって「おじさん」のキャラクターとしてつぶやいてもよかったのですが、それではミドルエイジ男性向けというイメージからなかなか抜けきれないと思いました。
コミュニケーションを図りたいのは若い顧客層なので、男性よりも雰囲気の柔らかい若い女性をキャラクターにして、ツイッターに取り組むことにしました。
実はニコンちゃんが生まれたのはツイッターを開始する半年前の2010年3月です。会員制交流サイト「GREE」に公式アカウントを設け、CRMとして本格的にソーシャルメディアを利用し始めました。
コンパクトデジタルカメラ『COOLPIX S3000』のカラーバリエーションを訴求する内容で、ニコンちゃんが週に2回程度日記を更新しました。「友だち」に登録した人数は8万人を超えました。
その後、同年9月にデジタル一眼レフの入門機種『D3100』を発売した際にツイッターのアカウントを開設し、ニコンちゃんがカメラを持ち替え、つぶやきを始めました。
ニコンちゃんについては、プロフィールに出ている「おしゃれとカメラが大好きな女の子」に加えて裏側で細かい設定もしています。内容が大きくぶれないようにするためで、投稿も実際に設定に近い女性社員が担当しています。
企業で実在する方がツイッターを担当する場合、その方の異動や退職等があると続けられなくなることがたまにあります。その点、キャラクターなら続けられるのではと考えたこともキャラクターを設定した理由の一つでした。
ニコンちゃんのツイッターアカウント
普段の日常やおしゃれに関するつぶやき、『D3100』やフォトテクニックのTipsなどが主な内容です。「デジタル一眼レフカメラは難しくない」ことを広めるのが目的なので、難しくしないこと、マニアックにならないこと、カジュアルにつぶやくことなどを心がけています。
近所の子や友達が話しているような感じで「カメラを使うと楽しいよ」ということが伝わるように、読んだ方が「私もデジイチが使える」と思ってもらえることを目指しています。
反応がよいツイートは撮影した写真に関するものです。担当者が友人と旅先で撮った写真は「女の子目線でかわいい」などのコメントがあります。ニコンちゃんがカメラを勉強中なので、担当者にも出かける時などにカメラを持っていってもらって、実際に撮影したものを投稿しています。
他にカメラのテクニックに関するツイートも関心が高いです。「こうするときれいに撮れる」「こうやって撮ると楽しい」「こんな機能がある」などTipsを盛り込んだものがよくリツイート(引用投稿)されています。
当初の目標としてはフォロワーを『D3100』にちなんで3100人にするという設定がありました。他社のキャンペーンのアカウントの初速を見ていても当時は多くて5000人程度だったので、3000人位集まればよいかと思っていたところ、現在フォロワー数は約19000人です。2万人を超えた時期もありました。
日経デジタルマーケティングが2011年1月に発表した調査によると、フォロワー数は上場企業のアカウント中14位、ハードメーカーではダイキン工業の「ぴちょんくん号」についで2番目でしたので、露出が少ないながら健闘していると思います。
フォロワーを厳密に分析するツールはないのですが、コメントの内容などを確認すると70〜80%がターゲットとしていた女性と思われます。
また、他社のカメラを持っているフォロワーも少なからずいらっしゃって、ニコン製品を持っていない人にアプローチすることができたことは成果の一つです。
カメラは耐久消費財なので買い替え期は3、4年。ツイッターでコミュニケーションを続けていき、フォロワーがカメラを買い替えるときにニコンちゃんを思い出して購入を検討してくれればと思っています。
フォロワー数はピーク時に比べると微減傾向なので、フォロワーとの関係を保ち続けていくための活性化策が必要と考えています。フォロワー数を減らさないことが現在の課題です。