ケーススタディー: 京浜急行電鉄様(2011年11月号掲載)
京浜急行電鉄
総務部統括課
多田大智氏
地域密着から沿線外へ取り組み強化
京急グループは、「都市生活を支える事業を通して、新しい価値を創造し、社会の発展に貢献する」ことを経営理念とし、「地域密着・生活直結」型企業集団として、鉄道・バス等の公共交通機関を始め、不動産、ホテル・レジャー、流通など様々な事業を沿線を中心に69社で展開しています。前身の大師電気鉄道の創立から、今年で113年となりました。
IR活動は、ステークホルダーごとに対応部署を分けています。機関投資家・アナリストは経理部が、個人投資家・マスコミ等は総務部が担当しています。
従来、投資家向け広報は経営状況や財務状況の数値的な説明を伝えるにとどまっていましたが、近年は、より分かりやすく、より多くの方に興味を持っていただけるよう、株主総会での事業報告等のビジュアル化の推進などに取り組んできました。
個人投資家向け説明会の開催風景
経理部が窓口となって、機関投資家の方を対象とした説明会を開催しているほか、アナリストの方に直接お会いし、随時当社の経営状況についてご説明しています。また、決算発表時には総務部がマスコミ向けの決算説明会を行っています。
個人投資家の皆様に対しても「分かりやすさ」に配慮しながらIR活動を実施していて、例としては「個人投資家向け説明会」や「株主プレミアムイベント」等があります。個人投資家の方に向けた説明会は毎年11月下旬頃に行っています。社長から京急グループの概要や今後の取り組みについて説明し、また、役員やグループ会社の社長など京急グループの経営トップとの懇談会を開いています。
懇談会では、投資家の皆様から鉄道、バス、ホテル、百貨店、ストア等の各事業についての疑問点や日頃の感想を伺い、各事業の責任者から直接説明をしたり、今後の取り組み等についてお話しさせていただくなど、活発なコミュニケーションの場となっています。
本年は過去最高となる約500名の投資家の方にご参加いただき、当社グループの事業について理解を深めていただくことができたと感じています。
株主プレミアムイベント、
バス整備工場見学の様子
株主の皆様に京急グループの事業をより深く理解していただくため、2年前から株主限定の特別企画「株主プレミアムイベント」を定期的に実施しています。このイベントでは当社グループの施設の裏側や普段立ち入ることのできない場所などを見学していただき、担当者から事業について詳しくご説明させていただいています。
これまでの実績としては、「鉄道運転士&車掌シミュレータ体験会」「バス営業所の工場見学」、「ホテル グランパシフィック LE DAIBA」での「シェフによる食の安全」など、当社グループが最重要課題と位置付けている「安全・安心の徹底」についてご理解いただけるよう、各事業の取り組みについて実際に現場で体感していただきました。
ご参加いただいた株主の皆様からは、事業に対して理解が深まり、安心感や愛着を持つことができたとの感想をいただいています。
京急グループの事業が鉄道・バスなどを中心に展開していることもあり、個人株主は東京南部、横浜市東部、横須賀市等、鉄道・バス沿線にお住いの方が多いです。そのためIRについても主に沿線の方を対象に取り組んできました。
しかし、1998年に羽田空港の沖合展開事業に合わせ羽田空港の第1・第2ターミナルビル直下に「羽田空港駅」(現・羽田空港国際線ターミナル駅)を開業、さらに2010年には羽田空港が本格的に国際化されたことから、全国各地や世界中からお客様をお迎えすることになりました。
このような状況の下、従来の鉄道・バス沿線だけでなく、より広いエリアの皆様に当社を知っていただき、さらに当社のファンとして株主となっていただくことを目標に、沿線外の個人投資家を対象としたIRの強化を推進しています。
本年から東京証券取引所主催の「東証IRフェスタ」へ出展したほか、投資家向け雑誌へ出稿するなど、当社を投資対象として検討していただくきっかけ作りを進めています。今後は少しでも多くの方に事業内容や戦略を知っていただける機会を増やせるよう活動範囲を広げるとともに、さらに分かりやすいIRを行えるよう心がけていきたいと考えています。